File 2-G. 神が為に ページ14
「よぉ、なかなか様になってたじゃねーか」
退席する音と雑談によるざわめきで賑わう会議室で、かけられた声に私は顔をあげる。松田さんが、よ、と片手を挙げながらこちらに降りてくるところだった。
「松田さん……証拠が出揃ってないタイミングで悪戯の可能性を突かれるのはキツいですって」
「上司に命令されたからですーって素直に言っとけよ」
「言えるか! 今度こそ首が飛びます。……あ、爆処の記録も聞きたいんで、荻先輩に当時の事件に関わった方がいないか聞いといてもらえます?」
「……おー」
少し間が空いて発せられた承諾の声。パチクリと目を瞬かせながら彼は私を見てきた。
「……なんでしょ」
「お前、もしかして仕事できんのか?」
「マージでナメ腐ってくれちゃってぇ!」
むきーと拳を振り上げてみるが、松田さんは平気で私の顔面を鷲掴みにして私を押さえつけて見せた。片手で押さえつけてきた。大事なことだから2回言った。
「夢路、まだ会議室内だ。騒がしいぞ」
「はーい風見さん。あ、さっきはフォローありがとうございます」
「ん?」
「私の功績をわざわざ口頭で説明してくれたやつです。あれ、私の指示に従うことに対して刑事課の方々が不満を抱かないようにするためですよね? 普通だったら巡査部長ランクの私の指示なんて誰も聞かないでしょうし」
あぁ、と風見さんは眼鏡を右手で押し上げる。
「降谷さんから任された仕事だ。君には万全な状態で挑んでもらわないと困るからな」
「そーそ、普段からお前のこといいご身分だって嗤ってた奴らがおもしれー顔してたぞ」
「へーそれは爽快感。っていうか、松田さん私のこと嗤ってる人の顔覚えてるんですね」
そろそろ会議室からお暇しようと机の上の書類を片付けながら、私は何気なく言う。
言われ慣れすぎて、相手の顔すら覚えるつもりはないのだこちとらは。
「おー、これでも可愛がってる後輩だからなぁ」
机に視線を向けていた目をぱちくりと瞑って開く。てっきり否定されるかドヤされるかと思っていたから肯定されるのは予想外だ。
「……可愛がって、ます? 松田さんと会う度に顔面骨の形変わってる気がします」
「ははっ、本当可愛いなお前。オラこっち来いよもっと可愛くなるようにしてやるから」
「あ゛ーすみませんすみません! 松田さんには滅茶苦茶可愛がってもらってますから! 最高の先輩だなぁ!」
指の関節ってそんなに鳴るんだなと尊敬すら抱いてしまう。横で風見さんがまたため息を吐いた。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - おかきさん» 更新が本当にゆっくりで申し訳ないですが、そのように言っていただいて嬉しいです!今後もゆっくり確実に更新していきますので、思い出したときに見ていただけると幸いです! (3月21日 1時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 続きが気になる、!続きを楽しみに待ってます!! (11月29日 22時) (レス) @page35 id: 3161f0695a (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - りんごポップコーンさん» ありがとうございます!資格試験が片付いたのでまた書き始めます!遅くなり申し訳ないですが、またいつか読みに来てくださるととてもうれしいです…! (7月10日 22時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
りんごポップコーン - 続きが気になります!良ければ、また書いてくださらないでしょうか…? (2023年1月22日 8時) (レス) @page31 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年6月24日 21時