▽7 昔話 ページ7
父が劇団員達に指示を出している様子を姉と一緒によく見ていた。
いつからかは分からないが左京はカンパニーに興味を持ち始めていたようで、それに気付いた姉が連れてきてからは三人で一緒にいることが多かった。
いつしかに親がいなくて左京が子守りを任せられたときだった。
私も一緒にいたが、悲しいことに昔から一人遊びが得意なもので、二人が遊んでいる間には砂場でお城を作ろうと頑張っていたものだ。
姉は我儘ばっかり言っていて、それに付き合う左京の声も聞こえた。既にその頃から自分のことも姉のことも嫌になり始めていたのかもしれない。
日が暮れてきて、そろそろ帰らねばいけない時間になった。
「やだ、帰りたくなぁい!!お兄ちゃんと結婚する!!」
「ば、馬鹿言うな!!」
満更でもなさそうな左京の表情に傷付いたのは、後に恋心だと気付くようになる。
―
――
―――
「みたいな感じで、特に話すほどお姉ちゃんのこと知らないから」
碓氷くんは俯いていた。
「あいつ、殺す……結婚するのは俺でいい……」
「やめてよそんな物騒な」
私は珈琲を飲みながら言った。
昔の話をして切なくなった気持ちは珈琲によって温められた。
「……あんたは、あいつに想いを伝えたことないの」
「ある訳ないでしょ。初恋は分かりきった失恋だったから」
「はぁ、伝えてたらライバル減って俺と監督は結ばれてたかもしれないのに……」
「本当に都合いいよね、あんたの脳内……」
沈黙が暫く続いた後、私は口を開く。
「とにかく、私の初恋を始め愛は全部お姉ちゃんのものだったの。だから私は愛されない。お姉ちゃんが嫌い。いくら頑張っても見てもらえないから、私はこんな尖った性格になったの」
碓氷くんは複雑そうな顔をした。あなたの好きな人が嫌い、なんて目の前で言うのは少々慈悲がなかっただろうか。
でも、碓氷くんだって姉に愛を注いでいる人のひとりだ。正直見ていると辛くなる。
「……今日は、帰る」
「また明日も話聞くから。今度は監督の写真持ってきて」
机の上に手を乗せて、一枚の手紙を置く。
――また明日、なんて言葉を初めて言われて嬉しかったのは秘密だ。
* * *
監督の妹が帰った後、机に置かれた紙切れを見つけた。
こんなのいつの間に置いたのか、確認をするとそれこそいつ書いたのか、メッセージが書かれている。
”珈琲とチョコ、美味しかった。また来る”
やっぱり素直じゃない無愛想な奴、と思って俺は思わず笑ってしまった。
―――
左京さんが出せない文字数
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あいちゃん(プロフ) - 柚子さん» ((･∀･*)(*･∀･))ｨｪｨｪ♪嬉しいです！真澄落ちは少ないので…だいたいが監督と真澄って感じなのでこの小説見つけた時は嬉しいかったです！ (2018年1月20日 21時) (
レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - その後主人公は誰と付き合うのかストーリー欲しいです！続編お願いします(＊-人-) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 98e3bdc9b3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - いぎさん» ありがとうございます！亀更新ですので更新まで長いですが気長にお待ちください(`･ω･´) (2017年12月2日 19時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！！続き楽しみにしています！！ (2017年12月2日 9時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - 雪見さん» 夢主がある日をきっかけに嫉妬の目でしか見られなくなり嫌いになってしまっただけでお互い良い子というつもりで書いてます。私の文章が拙く伝わりづらくて申し訳ないです(^^;) (2017年9月21日 19時) (レス) id: f3b070ef7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子 | 作成日時：2017年8月20日 18時
