▽5 気遣い ページ5
「あんた、ふざけんな」
監督が酷く傷ついた顔を見た俺が傷ついた。
監督を傷つけるなら、いくら妹であろうと許さない。
そう言えば、好きじゃないと言っていたが嫌いと言わなかったのは何故だろう。
先程出ていった姿を追いかけながら思った。
たいして遠くに行っていなかった様で、俺は監督の妹の腕を掴む。
「あんた、さぁ……」
「……何」
彼女は、泣いていた。
「なんで、泣いて……」
「文句あるから来たんじゃないの。早く言ってよ」
泣いていることに突っ込まれたくないようなので、このまま話を進める。
「監督を傷つけるな。いくら妹でも許さない」
「私はあの人のせいで沢山傷ついた。今更あの人のこと気遣うつもりはない」
”あの人のせいで沢山傷ついた”
その台詞が、妙に心に引っかかった。
「じゃあ、もう一つ質問」
監督の妹は何も言わなかった。早く言え、ということなんだろう。
「なんで嫌い、じゃなくて好きじゃないって言ったのか教えて」
「言ったところで何も変わらないけど」
じっと顔を見続けると、諦めたのか小さな声で話す。
「……結局傷つけたけど、嫌いって言ったら多分好きじゃないって言われるより傷つく。それを見たあんたが傷つく。お姉ちゃんが傷つくのは別に良いけど、関係ないあんたまで巻き込みたくない」
その言葉を理解するのに数秒かかった。
つまり、遠回しに気遣っていてくれたのだろうか……?
「……あんた、可愛くないね」
「知ってる」
何となく、もう少し話を聞いてみたいと思った。こいつの話じゃなくて、もちろん監督の話だが。
「ねぇ、昔の監督のこと教えて」
「なんで私が」
「いいから。監督はガードが硬い。明日、もう一回カンパニーに来て。絶対。もし来なかったら、今日泣いてたこと言いふらす」
「……わかった」
案外素直、だった。
そんなに泣いているところを見られたのが嫌だったのだろうか。
すたすたとそのまま歩いていく後ろ姿に声をかける。
「また明日、絶対。監督のこと教えてくれるまで、帰さないから」
「ほんと、めんどくさ」
こっちに振り返って言った。
その顔は、今日見た中で一番緩んだ顔だった、ように見えた。
* * *
よりによってあの人に泣いているところを見られてしまった。人前でなんか泣きたくなかったのに。その上訳の分からない約束をしてしまった。あの人は姉のことが本当に好きだな。
そんな姿を見て、やっぱり私は愛されない、と認識した。
それが悲しいなんて思った気持ちは心の奥底に閉じ込めた。
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あいちゃん(プロフ) - 柚子さん» ((･∀･*)(*･∀･))ｨｪｨｪ♪嬉しいです！真澄落ちは少ないので…だいたいが監督と真澄って感じなのでこの小説見つけた時は嬉しいかったです！ (2018年1月20日 21時) (
レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - その後主人公は誰と付き合うのかストーリー欲しいです！続編お願いします(＊-人-) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 98e3bdc9b3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - いぎさん» ありがとうございます！亀更新ですので更新まで長いですが気長にお待ちください(`･ω･´) (2017年12月2日 19時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！！続き楽しみにしています！！ (2017年12月2日 9時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - 雪見さん» 夢主がある日をきっかけに嫉妬の目でしか見られなくなり嫌いになってしまっただけでお互い良い子というつもりで書いてます。私の文章が拙く伝わりづらくて申し訳ないです(^^;) (2017年9月21日 19時) (レス) id: f3b070ef7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子 | 作成日時：2017年8月20日 18時
