▽27 大事な人 ページ27
着信音が聞こえて、誰が近くにいたのかと思ったら既に姿はなかった。
暫く様子を見ていると荒らげた声が聞こえてきたので、バレないように近付いた。
「っ、あいつらに手は出すな!!」
……左京?
聞いたことないような迫力のある声に驚いて肩が動いた。
あんまり聞かない方が良かったかな、と思って気付いていないフリをすることにした。
勢いよく電話を切って、ため息をついている。
たまたま見たみたいに装って……。
「左京?どうしたの?」
「あぁ、Aか」
左京は青ざめたような顔だった。
汗もすごくて、一体さっきの電話は何を話していたのかと本当に気になってしまう。
「……今から、外出する。なるべく遅くならないようにするつもりだが監督さんに伝えておいてくれ」
「待って、何処に行く気なのこんな時間から」
嫌な予感がして、止めなきゃって思った。
「……みんなを助けなきゃいけねぇんだ、俺は……」
理解出来なった。けど、冗談を言っているようには思えなかった。
なんだか重大なことを抱えているみたいで、私なんかが首を突っ込めるような話ではなさそうだ。
「危険は、ないんだよね」
「……」
嫌な予感を頼りにそう聞いた。左京は一瞬目を見開き、黙った。
「大丈夫だ。必ず帰ってくる」
そんな戦に行くみたいな言い方されると、余計不安になる。
……でも、頭を優しく撫でたその手が不思議と安心感を与えていた。
「左京にどんな事情があったのかわかんない。けど、私は左京を信じてる。左京が居なくなったら駄目だよ。……このカンパニーの大事な人、なんだから」
私の大事な人とはとても言えないので、言葉を飲み込んだ。
左京は、いつもみたいにフッと笑ってカンパニーを勢いよく飛び出した。
* * *
まずは銀泉会の奴らの安否を確認して、それから……。
走りながら何をするべきかと必死に考えていた。
”私は左京を信じてる。左京が居なくなったら駄目だよ。……このカンパニーの大事な人、なんだから”
その言葉を思い出すと、なんだか力が湧いてくるというか、妙に安心できる。
今こうして走っているのも、自分がまたあの日みたいに殴られたり蹴られたりで大変なことになるかもしれない覚悟の上だ。
そんな恐怖と戦っている中で、あの言葉を貰えたのには感謝している。
そうだ。俺はもう俺だけのものじゃない。カンパニーのものであって、劇団にとって大事な人なんだ。
―――
文字数の都合上半端だけど終了
秋組の視聴最高でした気付いたら泣いてました怖いです
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あいちゃん(プロフ) - 柚子さん» ((・∀・*)(*・∀・))ィェィェ♪嬉しいです!真澄落ちは少ないので…だいたいが監督と真澄って感じなのでこの小説見つけた時は嬉しいかったです! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - その後主人公は誰と付き合うのかストーリー欲しいです!続編お願いします(*-人-) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 98e3bdc9b3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - いぎさん» ありがとうございます!亀更新ですので更新まで長いですが気長にお待ちください(`・ω・´) (2017年12月2日 19時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!!続き楽しみにしています!! (2017年12月2日 9時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - 雪見さん» 夢主がある日をきっかけに嫉妬の目でしか見られなくなり嫌いになってしまっただけでお互い良い子というつもりで書いてます。私の文章が拙く伝わりづらくて申し訳ないです(^^;) (2017年9月21日 19時) (レス) id: f3b070ef7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子 | 作成日時:2017年8月20日 18時