▽16 夢 ページ16
「いづみちゃんは本当に可愛いわね」
私が別の部屋から宿題を取ってきて戻って来たときだった。ご飯がカレーだというから、お姉ちゃんは夕飯支度の手伝いをしていた。
今日は親戚が家に集まっていたのである。
「そうねぇ、愛らしいというか、見ていて幸せな気持ちになれるわ」
――当たり前じゃん、私の自慢の大好きなお姉ちゃんなんだから。
親戚たちがお姉ちゃんについて話していたのを、私は影から聞いていた。
「でも、なんでAちゃんはあんなに無愛想なのになっちゃったのかしらね」
心がチクリと痛むような感覚になった。
「お姉ちゃんと違って、目付きも鋭くて怖いわぁ。性格だって……人見知りで、棘があるし」
ざわざわと嫌な感情が溢れる。
何、この感覚。知らない。
お姉ちゃんと私は違う?
「正直、Aちゃんはあんまり好きになれないわね」
私がお姉ちゃんと一緒にいたから、構ってもらっていただけ?
全部、全部、私じゃなくてお姉ちゃんしか見ていなかったの?
嫌だ、嫌だ。
私の中の全神経がそんなのは違うと否定している。
私は聞いていられなくなり、静かに親戚の元へ近付いた。
「な、Aちゃん、どうして……」
そのときの私は、酷く怖い顔で暗い顔だったという。
この日から、私の中でお姉ちゃんを見る目が変わった。
―
――
―――
目を開けると、左京が心配そうにこちらを見ていた。
そういえば、帰りが遅くなるからって泊めてもらっているんだっけ。
これも夢なら抱きつきたいぐらいだが、頬に伝った生暖かい液体がそうでないことを訴えていた。
――この頬に伝っているのは、何?
頬に軽く触れる。その筋を伝うと、自分の目元に辿り着いた。
「あれ、私なんで泣いて……」
左京が心配していたのはそういう事だったのか。
「ったく、心配するだろうが。どうしたんだ」
昔の夢を見ていた、と伝えると左京は静かにそうか、と言うだけだった。
私はソファの上にいて、毛布をかけられている。
優しいな、こんなやつ放っておけばいいのに。誰にでも優しくするからって姉へのアプローチが失敗しても知らないから。
優しさというものは心が満たされる。
自分の存在を認識されているというか、嬉しくなる。
そうやって、優しくしてくれるから左京が好きだったのだ――。
私は左京にありがとう、と伝え水を飲みにソファから離れた。
―――
この話で漫画か小説か、本が作りたいです。コピー本だけど。
買ってくれる人いるかな…((
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あいちゃん(プロフ) - 柚子さん» ((・∀・*)(*・∀・))ィェィェ♪嬉しいです!真澄落ちは少ないので…だいたいが監督と真澄って感じなのでこの小説見つけた時は嬉しいかったです! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - その後主人公は誰と付き合うのかストーリー欲しいです!続編お願いします(*-人-) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 98e3bdc9b3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - いぎさん» ありがとうございます!亀更新ですので更新まで長いですが気長にお待ちください(`・ω・´) (2017年12月2日 19時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!!続き楽しみにしています!! (2017年12月2日 9時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - 雪見さん» 夢主がある日をきっかけに嫉妬の目でしか見られなくなり嫌いになってしまっただけでお互い良い子というつもりで書いてます。私の文章が拙く伝わりづらくて申し訳ないです(^^;) (2017年9月21日 19時) (レス) id: f3b070ef7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子 | 作成日時:2017年8月20日 18時