▽13 姫の馬 ページ13
戻ってきた後、真澄は空気を読んでくれた。
どうしたの?と聞いた姉に対し、トイレに行ったまま迷ったと答えてくれた。
そういうことにしてくれて非常に助かった。
不思議そうにしていたが、姉も左京も深くは追及しなかった。
多少は並んでいたが、他のところよりかは人が少なかったメリーゴーランドへ乗ることにした。
少し並べばすぐに順番が来る。
近くの馬にみんなで四人で乗り込んだ。
並んでいた人たちが乗ったことを確認すると、ゆっくりと動き出す。
姉は王子の馬に乗せられた姫のようだった。
それが羨ましかった。
私が馬に乗ってもこんな風にならない。ただの姫の下につく者に過ぎない。
華があるのは彼女だけなのだ。その両サイドにいる二人の目線がそれを示していた。
仲良くなってきていた真澄も、昔からの仲である左京も、どちらも姉しか見ていない。
姉だけが、私の求めるもの全てを持っている。
じゃあ、姉が求めるものを私は持っているか?
考えることをやめた。これ以上考えても無意味だと思った。
恋は何故こんなに苦しいのだろうか。私たち四人は、誰も結ばれない。
私は左京が好きだ。でも、左京は姉が好きだ。姉は誰が好きか分からない。好きな人がいるのかも分からない。そんな姉を真澄は好きと言っているのだ。
姫の馬は、ただ前を走り続けていた。それを私は眺めていた。
私が乗っているのは、一般庶民の馬だ。
* * *
沢山歩き回って、足が疲れてくる夕暮れどきのことだった。
橙色と青色が混じって、雲がかかって幻想的な空に、遊園地の景色。
ふと、観覧車が目に入った。
ここの観覧車は一番上に登ったところで、告白すると結ばれるとか、もう恋人ならキスすると永遠に一緒とか、本当とは思えないジンクスばかりだった。
きっと真澄はこれを求めてやってきたのだろうと思った。
ただ、左京のことを考えると姉と真澄の二人だけにして私と左京で一緒にいるのは可哀想だ。
私は構わないが自分のライバルが好きな人といて、しかも自分は大して興味もない、つまらない人と一緒にいるなんて……私だったら苦痛だ。
生き生きした目の真澄がやはり観覧車へ行くことを提案し、並びながら組み合わせを決めていた。
――ジャンケンの結果。
姉と真澄、私と左京。
……結局左京が損する組み合わせとなってしまった。
―――
お気に入りも評価も沢山！！ありがとうございます。
今のところ誰も報われない恋を書いているので、一人ひとりを掘り下げるのが楽しいです。へへ。
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あいちゃん(プロフ) - 柚子さん» ((･∀･*)(*･∀･))ｨｪｨｪ♪嬉しいです！真澄落ちは少ないので…だいたいが監督と真澄って感じなのでこの小説見つけた時は嬉しいかったです！ (2018年1月20日 21時) (
レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - その後主人公は誰と付き合うのかストーリー欲しいです！続編お願いします(＊-人-) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 98e3bdc9b3 (このIDを非表示/違反報告)
柚子は多忙で更新停止中(プロフ) - いぎさん» ありがとうございます！亀更新ですので更新まで長いですが気長にお待ちください(`･ω･´) (2017年12月2日 19時) (レス) id: 0f9b565f22 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！！続き楽しみにしています！！ (2017年12月2日 9時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
柚子(プロフ) - 雪見さん» 夢主がある日をきっかけに嫉妬の目でしか見られなくなり嫌いになってしまっただけでお互い良い子というつもりで書いてます。私の文章が拙く伝わりづらくて申し訳ないです(^^;) (2017年9月21日 19時) (レス) id: f3b070ef7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子 | 作成日時：2017年8月20日 18時
