２６ ページ27
先輩が出てって、紫耀くんはわたしの顔を見つめる。
「なに？見ないでよそんなに(笑)」
「よかったん？廉、戻ったけど。」
「うん。大丈夫。」
「ふーん」
そう言ったけど、紫耀くんにはぜんぶ見透かされてるみたいだった。
「紫耀くん、あのね！」
「ん？」
「わたし、失恋した！」
「…うん。」
「永瀬先輩、好きな人がいるんだって！」
「うん。」
「自分を好きな人が嫌いって言ってたのに、
先輩好きな人、できたんだって。」
「うん。」
だんだんと涙声になっていくわたしの声
だけど紫耀くんは変わらず、優しく聞いてくれていた。
「先輩に言ったんだ。好きだったって。
自分で終わりにした。」
「…うん。」
「しかも嘘もついた。もうほかに好きな人いるって。先輩のことは、すきじゃないって。」
「…」
「先輩のこと、まだ好きだし、彼女になりたかったし、ずっと一緒にいたかった。けど、もういれない。」
「なんで？」
「先輩の顔みたら、先輩は別の人が好きなんだ。私を好きなんじゃないんだって、多分思っちゃう。それが、つらい。」
「廉はAのこと、ちゃんと好きやと思うで？」
「違うよそれは。私は、ただの、後輩だから。」
「…そんなボロ泣きしながら諦めたとか言われても全然納得出来へんよA。」
そして紫耀くんは、
私を抱きしめた。
その逞しい腕にとても、安心して、
もっと涙が止まらなかった。
「Aが泣いてると俺まで泣きそうになるやんか。
笑っててや。A。」
「ごめんっ、」
「あ、もう！鼻水つけんといてや！！」
「つけてないから！！」
そのまま紫耀くんはずっと私を抱きしめてくれてた。
「もうほんとに平気！！ありがとね紫耀くん。」
「もうー、ぴーぴー泣いちゃって。
おかげで俺の体操着びちょびちょやん。」
「そんな濡れてないし！」
「なーんてな(笑)
はよ行き！お友達待ってんで。」
「紫耀くんは？」
「俺は、ちょっとサボり〜」
「あっそ」
じゃねといって紫耀くんに背を向ける。
だけど、バカな私は何も気づいていなかった。
永瀬先輩の気持ちも、
私を抱きしめながら泣いていた紫耀くんも、
「好きやで。A。」
私を見送りながらそう言う紫耀くんも、。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1190人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Next - 続きが楽しみです！更新、頑張ってください！！ (2019年7月28日 18時) (
レス) id: cf1942b956 (このIDを非表示/違反報告)
千晃(プロフ) - ＃かのんさん» お返事遅れてすみません、ありがとうございます！！更新遅くてほんとすみません、、 (2019年1月19日 18時) (レス) id: 541a949c76 (このIDを非表示/違反報告)
＃かのん(プロフ) - 最近、元彼の平野くんを発見して、おもしろくてキュンキュンしたので、先輩。も読まさせていただいています。紫耀くんと廉くんのライバル感というか、お互い素直になれない不器用さが大好きです。更新頑張ってください。応援しています。 (2018年9月10日 20時) (携帯から) (レス) id: f71de401a4 (このIDを非表示/違反報告)
千晃(プロフ) - ★ＭＩＫＡ★さん» 頑張ります！ありがとうございます！ (2018年8月13日 7時) (レス) id: 541a949c76 (このIDを非表示/違反報告)
千晃(プロフ) - めいなさん» ありがとうございます！ (2018年8月13日 7時) (レス) id: 541a949c76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千晃
| 作成日時：2017年12月20日 1時
