ごじゅうろくわ ページ9
Aside
飲み物を待っている間、私はボーッと周りの景色を見ていた。
もちろん帰りたい気持ちも山々であったが、ここまできて帰れるわけもなく大人しく座っている。
ラギー「陸も海の中も弱肉強食世界なんて、本当に世界は大変っスよねー」
突然ラギーさんがそう話し出す。
『……本当に』
彼はハイエナであるが、あの双子はウツボ。そしてここの寮長はタコである。
ライオンとハイエナにボコボコにされるタコ……、なんて思うが彼らも海の中でここまで生きてきている。
サバイバル生活と言ってはなんだが、彼らにとって"弱肉強食の世界"というのは当たり前だったのかもしれない。
『(……当たり前だけどみんな知らないところで努力してるんだなあ)』
そんなことを1人で考えていた
時、
ジェイド「お待たせいたしました。お先にこちらお飲み物失礼しますね」
飲み物ができたらしい。
私とラギーさんの前に置かれる飲み物。
ラギーさんがゴマスムージーで私が海底のフルーツティーである。
どちらも美味しそうで思わず目が輝く。
……何度でも言おう。
私のこの表情はフードで周りの人たちには見えないが。
ラギー「ありがとうっス」
『…どうも』
どうしてもこのワクワクしている気持ちを悟られたくなくて素っ気なく喋ってしまったが、ジェイド・リーチの方をみれば彼は怖いぐらいにニコニコと笑っていた。
仕事にも戻ろうとはせずに。
『……?仕事、戻らないんですか?』
ジェイド「…いえ、Aさんが初めてのご来店ということなのでぜひとも飲み物の感想を頂けないかと思いまして」
『はは、感想ならお会計時のときにでもいいますよ』
ジェイド「いえ、今がいいんです。……さあさあ!早く飲んでください!」
" こいつは悪魔だ "
私はそう確信した。
助けを求めるようにラギーさんの方へと目線を送るが、彼は呑気にゴマスムージーを飲んで「やっぱ美味しいっスね!」なんて言っている。
ジェイド「…ラギーさんに助けを乞うだなんて無理ですよ。……さあ早く飲んでください!」
『………』
私は彼、ジェイド・リーチにこれでもかというくらい威圧され、その威圧に負け
『(……最悪だ)』
渋々ながらマスクを取り、飲み物を口の中へと流し込んだ。
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ぬん(プロフ) - 素敵な作品でした! (2023年4月7日 19時) (レス) id: 855665461e (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ雪だるまを食べる - 1日中読めてしまうほど、とても素敵な作品でした!!! (2023年3月30日 23時) (レス) @page14 id: e0abe8e0bb (このIDを非表示/違反報告)
竹原紫祐 - 思いも寄らない展開で、一気読みしてしまいました!素敵ですね! (2021年12月28日 18時) (レス) @page1 id: 065c29639b (このIDを非表示/違反報告)
桜鈴(プロフ) - 麗さん» 誤字の指摘ありがとうございます。訂正致しました! (2021年6月6日 15時) (レス) id: ac844892e6 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 29ページ 本夢 これ誤字ではないでしょうか? (2021年6月6日 12時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜鈴 | 作成日時:2020年7月30日 20時