8 ページ9
『どういうことですか?』
何を言ってるのかがわからないし、言っていることが事実だとして葛葉さんがどうやってその情報を手に入れたのかが理解できない。
だって洞窟に籠もってるんでしょう?それなら見れるはずないから。
葛葉「Aさんが住んでいた家は、正しくは生贄として育てられる人の家は、隔離されているんですよ、この山の近くに。」
『何が言いたいんですか?』
葛葉「Aさんの本当の名字はおそらく山ノ内じゃありません。生贄となる子供はすべて山ノ内という名字にされるんです。そして生まれた家とは別の場所、この山の近くの生贄だけが暮らす場所へと送られることになるんです。」
・・・・・・辻褄はあっている。現実的かどうかを除いてではあるが。
『もしそれが真実だと仮定して、なぜあなたがそんなことを知っているんですか?』
葛葉「飛べるからです。」
『っ!!!!!!』
葛葉「俺は飛べますし、夜でも目が利きます。それに、目の赤を消すことはできませんが、人に近い姿になることができます。外を見るのは簡単です。」
そうだ、この人は飛べる。それに、人と同じような姿に慣れるなら外に出ていても不思議じゃない。
最初に言っていたことにも説明がつく。
この人は「もう生贄とかいらなくて」と言ったじゃないか。
それがもし、自由に食料が手に入るようになったから、という理由からなのだとしたら完璧に辻褄が合うのだ。
『じゃあそれは、それは事実なんですか?私が生贄にされるために、いいように使われるために育てられてきたというのは、本当のことなんですか。』
葛葉「事実です。もっと正確に言うと、現代から隔絶された昔の中で育てられてきた、と言ってもいいですね。」
『・・・・・・・・というと?』
葛葉「あなたが生きていた場所の生活様式は、前時代的なんですよ。」
『なぜですか?前時代的、ということは本来より不便だ、ということですよね。』
葛葉「そうです。でも、村の奴らにとっては、Aさん達生贄を効率良く育てることより、不便なままで育てることで得られるメリットのほうが大きかったんです。」
『めりっと・・・・・・・?』
葛葉「利益とか利点のことです。村の奴らはAさんたちに情報をできるだけ与えたくなかった。生贄として育てていることがバレてはいけないから。だからこそ、現代との隔絶を選んだんですよ。」
223人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Asuna(プロフ) - Eryngiumさん» Eryngiumさん、ありがとうございます!これからも頑張ります!! (11月27日 7時) (レス) id: ef68d1b102 (このIDを非表示/違反報告)
Eryngium(プロフ) - 完結おめでとうございます!心理描写がとても丁寧ですごく読みやすかったです。これからも活動を応援しています!! (11月27日 0時) (レス) @page22 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Asuna | 作成日時:2023年11月24日 19時