16-side kzh- ページ17
こいつは、自分が何を言っているのかわかっているのだろうか。
確かにこいつは言った。俺の前で死にたいと、そう言った。
名前をつけ難いような感情があるから、俺の前で死にたい。
それがどんな感情なのか、もし俺が持っているこいつへの執着とそれが同じなら、もしそうなら俺は、俺は何をすればいい。
そもそも俺の目の前で死にたくなる感情ってなんなんだ、とも言わざるを得ない。
単なる嫌がらせの可能性だってなくはないのだから。
でも、こいつに限ってそんなことしてくるとは考えたくもない。
ここで一生を終えたいなんて馬鹿げているが、もし俺と同じような気持ちを抱いているなら、ここで死にたいというのにも納得はできる。
ずっと考えていたんだ。
何故か世話を焼いてしまう理由を。
何故か裏切れない自分を。
そして、おかえりなさい、を待っていた自分を。
思っていたとおり、行く時と全く変わらない場所に座っていたAさんを見て心底安心した自分がいた。
見たことないものを見て目を輝かせたり、興味深そうに眺めたりするのを見て、嬉しくなった自分がいた。
思い込みかもしれない。
とても久しぶりに誰かと話したから、ただそれだけかもしれない。
でも、それでも俺はこの気持に付ける名前を知っているから。
初めてのこのどうにもできない感情の名前を知ってしまっているから。
絶対的に美しいとは言えない、醜い部分もあるこの感情を相手に押し付ける気は毛頭ない。
だがそれは、それが俺の独りよがりな感情だったときだ。
もし、もしもそれが俺だけじゃなかったのなら、こいつもそうなら。
その執着までさらけ出してほしいと思うのはわがままだろうか。
いっそのこと俺に対しての感情を勘違いして、思い込んででも一方通行でなくしてくれるのならそれでもいいとすら思ってしまうのはいけないことだろうか。
彼女はきっと、この気持はそういうものなんだ、と受け入れてくれるのだろう。
また俺を信用して、気持ちに俺と同じ名前をつけて、笑うのだろう。
それに期待してしまうんだ。
だから、だからこそ俺はあなたに卑怯な言葉を投げかける。
葛葉「それは、Aさんは死ぬまで俺と一緒にいたい、ってこと？」
君が、否定するわけがないから。
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Asuna(プロフ) - Eryngiumさん» Eryngiumさん、ありがとうございます！これからも頑張ります！！ (11月27日 7時) (
レス) id: ef68d1b102 (このIDを非表示/違反報告)
Eryngium(プロフ) - 完結おめでとうございます！心理描写がとても丁寧ですごく読みやすかったです。これからも活動を応援しています！！ (11月27日 0時) (レス) @page22 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Asuna | 作成日時：2023年11月24日 19時
