仲良しのあの子 (視点:夏) ページ4
いつもと変わらない通学路。この時間はあの子が歩いている時間帯だ。
河川敷の近くに来ると、私の少し前を同じ制服を着た綺麗な黒髪の女の子が歩いている。
ちょっと重そうな黒のギターケースを背中に背負っている。「あの子だ」と思い、私はその子に声をかけた。
「Aちゃん!おはよう!」
「おはよう、天野さん」
氷川Aちゃん、最近転入してきた女の子だ。
確かトウマと同じクラスの女の子で部活でバンドのギターをやってる。
そんな彼女と私は家が近かったから話す機会もそれなりにあった。
「えー?昔みたいにナツメちゃんって呼んでもいいのに…私達家も近いしよく話してたのに」
「えっと…ナツメちゃん…」
「あ、呼んでくれた!!」
Aちゃんは困惑しながらも天野さんからナツメに呼び方を変えてくれた。
「喜んでくれたならよかったよ」て笑った姿は昔の時とほとんど変わっていなかった。
その時、一瞬だけ私の後ろの方をちらっと見たのが気になった。
「Aちゃん?何かあった?」
「ううん、なんにも」
後ろを振り返ればジバニャンが少し後ろに立っていた。
ジバニャンは訝しげにAちゃんを見ている。
その表情は「アイツ、俺様のことが見えていたよな?」と言いたげだった。
「ナツメちゃん?何かいるの?」
「え?あ、なんでもないよ!」
普通の人には妖怪は見えない。
ごまかした私を神妙そうに見つめるAちゃんの腕を何とか引っ張って学校に向かった。
「あ、前ここの公園で遊んだよね。懐かしいなぁ…」
「うん、そうだね。あのブランコ、まだ残っていたんだ」
Aちゃんは小学5年生の時に体調を崩して別の家の方に行っちゃっていたんだ。
そんな彼女にとって今見えている景色は新鮮に見えているのかもしれない。
懐かしそうに公園を見つめるAちゃんを見てさっきのことをぼんやりと考える。
もしかして、Aちゃんにも妖怪が見えているのかな?
でも、それが気の所為で彼女とギスギスするのも悩ましい。
そんな事をもんもんと考えていると学校に着いてしまった。
「ナツメちゃん、私こっちだから」
「あ、うん!じゃあまた後でね」
「うん、また後でね」
なんとも言えない空気のまま私はAちゃんと別れた。
ちゃんと聞いておけばよかったのかな。
この時の私は、この後に思わぬ形で再会するとは思っていなかった。
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チョコドーナツ(プロフ) - トウマがかわいい…!そして設定も凝ってて面白いです!更新頑張ってください! (2022年4月30日 0時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇〇(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…!!! (2022年3月2日 2時) (レス) @page29 id: bf5c030886 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2022年2月6日 4時) (レス) id: 585f4fa9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろもち | 作成日時:2021年2月10日 20時