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第一話 妖怪が見える少女 ページ3

どこか懐かしい道を歩く。
三年ほどこの場所から離れていたけれど、景色は何も変わっていなかった。
春風がそよいで黒い髪を揺らし、優しい花の匂いが鼻をくすぐった。

「ただいま、龍見川端。やっと帰ってこれたよ」

時期は春を少し過ぎて桜の花びらが道路に落ちている。
その光景を見て誰かと「絨毯みたいだね」っていって嗤ったことがひどく懐かしい。
思い出そうとしても思い出に蓋がされているのか、思い出さないように【教えられた】のか…今となってはもうわからない。

私の名前は氷川A。
三年の年月を経てこの地域に戻って来たしがない女子中学生だ。

家庭の事情で三年くらい別の所に引っ越しをしていた私は、最近になって帰ってくることができた。
と言っても引っ越した時は小学5年生くらいで、今の私は中学2年生にまで成長していた。
多分、前の友達も同じくらいにまで成長しているのかもしれない。

河川敷に沿って少し歩けば、これから通う中学校が見えた。
校門を通れば先生が待っていて一通りの説明を受けた。

「うちのクラスの子たちは優しい子が多いから、氷川さんも楽しめると思うよ」

そういって先生は微笑んだ。
教室の扉を開けば、クラスメートになる子たちが興味津々といった様子で私を見ている。
ちゃんと話せるだろうか…そんな不安を抱えながら私は自己紹介をした。

「初めまして、氷川Aです。久しぶりにこの街に戻って来たのでわからないことが多いですが…よろしくお願いします」

そう言い終えてお辞儀をすれば、暖かい拍手が聞こえてきた。
顔を上げて見渡せば、クラスメートは優しそうな笑顔を浮かべていた。
そして口々に「よろしくな」「よろしくね」と歓迎していた。

「氷川の席は月浪の隣だな」

私の隣の席は月浪さんというらしい。
きょろきょろと見回せば、「こっちだよ」と優しそうな声がした。
一番後ろの席にいる男の子がこっちを見て微笑んでいた。
「いいな〜」という野次がクラスのあちこちから聞こえたけれど、隣の席の月浪君は気にしていないみたいだ。

「初めまして。僕の名前は月浪トウマ。よろしくね、氷川さん」
「よ、よろしくお願いします、月浪君」

にこりと微笑んだ月浪君はすごく整った顔をしている。いわゆるイケメンという感じだ。
その笑顔を見た瞬間に急に胸が苦しくなった。
なんでだろう、さっきまで不通にできていたのにちゃんと顔を見ることができない。

え、待って、これが恋って…そんなわけないよね。

仲良しのあの子 (視点:夏)→←序章 初めまして、非日常



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チョコドーナツ(プロフ) - トウマがかわいい…!そして設定も凝ってて面白いです!更新頑張ってください! (2022年4月30日 0時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇〇(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…!!! (2022年3月2日 2時) (レス) @page29 id: bf5c030886 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2022年2月6日 4時) (レス) id: 585f4fa9d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろもち | 作成日時:2021年2月10日 20時

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