16、不純物 ページ19
「誰かって？ひどいな、もう忘れたのかい？
君が大好きな“夏油傑”だよ」
『チゲぇよ嘘ほざいてんじゃねぇぞ』
死「ところでヒーロー、本命は俺じゃない」
しまった！
相澤先生の方へ目を向けると脳無が相澤先生の腕を折っていた。
ｸｯｯｿ！
このあと！このあと、、、梅雨ちゃん！
思い出した！梅雨ちゃんが危ない！
「A、敵に背を向けてはいけないよ、前にそう教えなかったかい？」
そう言い物理攻撃をかましてきた傑もどき、
『黙れクソ！傑を返せ！』
体術には自信があった。1.2年に教えてるくらいだ、
なのに、なのになのになのに！おされてる！
「返すも何も私は私さ。それよりA、前より体術上達したじゃないか、頑張ったね」
どれだけ殴っても蹴っても、その分反撃してきやがる、
でも、どの攻撃も殺意は感じない。
きっと傑もどきは殺しに来たんじゃない。
ならなぜ？
そもそも呪詛師がヴィランと組む必要はない。
きっとヴィランは途中で捨てられる。
なんで組んだ、なんで今来た。
悠仁もいない、私と悟は術師側。
今ここで出てくるメリットがない！
「考え事かな？そんなことしてるからこうなるんだよ」
そういい押し倒された。
殺意はない。
両手首を片手で掴まれ頭の上に持ってこられる。
足で私の足をはさみ動けないようにする。
そうか、だいたいわかった。
今このタイミングで出てくるリスクより大きい賭けが。
「A、いい女になったね」
そういいながら私のサングラスをとる。
あ〜あ、本当の傑だったらよかったのに。
まぁそうならこの状況で発狂して、鼻血たらしたやばい奴になるけど。
全く持ってキュンキュンしない。
『ねぇ、名乗ってくれない？貴方のこと、傑もどきとしか言いようがないのよ』
「Aの目ならわかるだろ？正真正銘夏油傑さ、」
『私の目が言ってるの。この距離で肉眼で見たら
混じってんのよね、不純物と傑の呪力が、』
私の鎖骨をなぞって、鎖骨と鎖骨の間に指を置く。
そのままｽｰと胸の間を通り腹筋をなぞる。
「じゃあもし本当に不純物が混ざっていたとして、
不純物が混ざった私は嫌いかい?」
こいつ、傑の顔で悲しそうに微笑むあの尊き顔を作ってやがる！
くそ！こんな状況でも楽しめるオタクってすげぇよな！
でも私には死にものぐるいで獲得したスキル、ポーカーフェイスがある。
『傑は好きだ。呪詛師になった傑も好きだ。
だが、お前は嫌いだ』
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作者名：莉央 | 作成日時：2023年8月24日 13時
