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「ねぇA、あなた将来何になりたいの？」
『！おかーさん！わたしね、あのね、しょーらいね！』
またか、またこの時を思い出す。
いや、これは、
夢、か。
、
大好きなおかーさん。
「ねぇA、あなた将来何になりたいの？」
この当時、父はヴィランに殺された。
正しく言えば、近くにいた子供を守って死んだ。
家族4人でお出かけしていたときのことだった。
しばらくはお母さんと兄と私。家では誰も何も喋らなかったし、笑わなかった。
ある日お母さんが警察の人の話終わって私達兄弟に言った。
母「お父さんはね、わかってると思うけど、もう、帰ってこないの。とても悲しいこと。でもね、お父さんは私達にこんな雰囲気になってほしくてあの子供をかばったわけじゃないの。わかるわよね。お父さんは、誰よりもカッコイイ我が家のヒーローだったね。」
泣きながらそう話したお母さん。
私はお父さんが我が家のヒーローだなんて思いもしなかった。
私の中のヒーローは、必ず最後は笑顔だったから。
ヒーローは最後、生きて笑って安心させて、そして周りも笑顔になる。
でもお父さんは死んで冷たくなって絶望させて、そして周り(家族)は笑わなかった。
お父さんの行動はとても尊敬している。
でもヒーローじゃない。
私はお父さんみたいな自分を犠牲にした人助けじゃなくて、
最後、生きて笑って安心させて、そして周りも笑顔になる。そんなヒーローに
『！おかーさん！わたしね、あのね、しょーらいね！“ヒーロー”になる！』
母「え、…。そ、そっか。Aならきっとなれるよ」
このとき、お母さんが何を思ったか未だかわからない。
でも、泣きそうな顔してるのに、無理やり口角を上げて「なれるよ」なんて言ってくれた。
、
ﾋﾟ ﾋﾟ ﾋﾟ ﾋﾟ
一定で聞こえてくる機械音。
(あー病院か。)
(ど、どうしよ)
こういうときはナースコール？
いや、でも看護師さんも忙しいよね。
思ったよりピンピンしてるし、
誰か来るまで待つか。
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
『あ、先生…とお母さん。』
扉の前で立ち尽くすミイラの相澤先生とお母さん。
母「…A。A。A、良かった…良かった。」
そう言いながら近寄ってきたお母さん。
あれからお医者さんが呼ばれ診察やらなんやら。
詳しくは言われなかったが、「流石リカバリーガール」などと言っていたので、
きっと治癒してもらったのだろう。
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作者名：莉央 | 作成日時：2023年7月8日 0時
