〈H×H〉Astrolabe・syndrome

飼い犬の印形 ページ15

イルミさんに追い付いて後方の執事勢へお辞儀をする

ゴトーさんがなんともいえない表情で私を見送っていた

「いいでしょ。鈴つきチョーカー。」

移動に使うらしいヘリに乗り込むと、イルミさんが私の首元を見る

『犬みたいで、いい気は全くしないですが』

「勝手に逃げないようにわざわざ着けたんだから取らないでよね」

そんなところだろうと思った。

なぜ私にこんな格好をさせたのか。質問する前にイルミさんが口を開く

「今から俺はアダムズ財閥の会合に参加するテオ=アサル。Aはそのパートナーのオリビア=アサル。今日の仕事は暗殺だからね。ターゲットは、」

アダムズ財閥総帥。

その言葉を聞いて一瞬で理解する

会合に紛れ込む一般人を暗殺するなら、別にこんなに作り込まなくてもいいはず

それが私だけではなくイルミさんもスーツを着込み、長い黒髪を1本に結っている

「大物っていえば大物だから一応手頃なところで下準備したら配偶者を忘れてて失敗したと思ってたんだよね」

『その配偶者役が私ってことですね』

つまりはイルミさんが殺したか捕らえたかの会合出席者の名前を使って殺しの仕事をすると

確かに夫婦で来ていると思わせれば警戒も薄くなる、、かも

「会合には財閥と直接繋がりのない人間も数百人は参加しているはずだから、疑われることはない」

『まさか、それも調べてアサル夫婦にしたんですか』

当たり前でしょ。とイルミさんが首を傾ける

流石暗殺一家の息子。この分だと仕事は早く終わりそうだ

ヘリを降りて目的地に足を降ろすと、映画でしか見たことのないような屋敷の裏庭。

目立たないようにわざわざヘリを裏につけたらしい

門まで歩くと、一斉に視線が集まる

私が纏う青のオフショルダードレスに、高いピンヒール。

ドレスとお揃いの青い硝子玉のイヤリングが揺れる

『イルミさん、私多分犬にしか見えてませんよ。目立ちますってば』

特に目立っているだろう鈴つきの首輪。じゃなかったチョーカー。鈴がついたリボンと生地は可愛らしい水色だが、そもそもお洒落のためにつけている訳ではないので落ち着かない

「アサル夫婦は今回欠席する財閥関係者に招待された目立ちもしない小物だから誰も知らない。ていうか他の奴らの方が派手じゃない？」

誰も知らないでしょうが暗殺者が目立ってどうする

確かに私よりお洒落なおばさまは沢山歩いているけども

視線が集まるのはイルミさんの整った顔立ちにも関係するかもしれない

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