〈H×H〉Astrolabe・syndrome

日曜日のドレスチェンジ ページ14

土曜日午後八時
私は明日の仕事に備えて支度を始める

バッグ、メモ用紙、護身用のナイフ

あれから電話で繋がったゴトーさんに仕事内容を聞いたが、事前秘密とか
とりあえずいつもと同じ服装でいいらしい。
スーツを買いたかったけど、そんなお金はないので古着屋でスカートとブラウスを購入した

身だしなみも整えるために化粧品も欲しかったけど、とりあえずお金が入るまでは我慢しなければ

お風呂に入って、早めにベッドに入るとすぐに瞼は下りていった


『クロ。不審者が来たら迷わず逃げてね』

朝を迎え、クロに餌と水を与えてからゴトーさんに連絡をとって家を出発する

目的のバス停に着く頃にはゴトーさんも到着し、私を待っていた

車に乗ると、ゴトーさんが今日のプランを話し始める

「屋敷に着いたら、イルミ様と二人で行動することになる。俺は同行を認められていない」

暗殺一家の長男と二人。

恐怖の残像が蘇る私の前に、スッとカップの紅茶が差し出される

『あ、スターバックス』

ラベルにあるオールミルクの文字は、偶然にも私の好みのカスタムだ
ささやかなプレゼントににやけながらゴトーさんを見ると、固い表情ながら少しだけ口角が上がっていた

「カスタムは苦手でな」

『大正解ですよ。ありがとうございます』

紅茶を啜りながら数時間のドライブを終えて屋敷に着くと、早速イルミさんが門前に立っていた

ゴトーさんが運転席から素早く降りるのに従って私も助手席を降りる

「やっと着いた？A早く服着て」

『何言ってるんですか。素っ裸に見えるほど服が貧相とでも？』

古着屋で悪かったな。とイルミさんを見ると手には青い布地のようなものが。

イルミさんが布地と紙袋を渡してくる

青い布地、、じゃない。

サテンが美しいドレスだ。一瞬で値が張るものと分かる

「ツボネ、着せといて」

イルミさんが背後に呼び掛けると突然姿を現す体格の良すぎる女性。ん？

「分かりました。失礼しますね、お嬢様」

迫力のある声でツボネさんが返事をすると、目にも止まらぬ手際であっという間にツボネさんの元に古着が渡る

『私の古着、、え？』

眼下に広がる青いサテン生地

どこからか女中もやって来て私にヒールだのイヤリングだの飾り付けも始まった

「失礼いたしました。お綺麗でございます」

『待って待って望んでない。イルミさん！？』

錯乱する私を置いて歩くイルミさんを追いかけて走ると、リンっと首のチョーカーが音を出した

飼い犬の印形→←重なる

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