Aぇ！！の長いおはなし (ページ28)

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44.昔話ページ28

＊末澤side

関ジュで舞台が始まった
お芝居の要素が中心で毎年新しい子達も出る

ダンスレッスンで台本も配られ、
みんなが公演に向けてやる気満々

でも、まゆは出ない。

というか、出れない？出してもらえない？
どの表現が合ってるかは分からんけど。

男メインのストーリーに女が必要無い。
女の子の役が存在してない。

ただそれだけの理由。
役がなければ、選ばれる余地もない

ただそれだけ。

でも、関ジュほぼ全員が出ることに
まゆがどう思ってんのか聞いたことなかった

いや、聞くのが怖い

なのに、あいつは毎回の稽古に顔をだす。
どんな気持ちで来てんのか分からん
恨めしい顔もしてない。
でも、ふと見せる悔しそうな顔

やっぱりそうやんな、悔しいよな…

ﾁﾋﾞｼﾞｭ「まゆちゃん！台本なんやけどさ
　僕のところ合ってるか見てくれへん？」

「ええよー」

ﾁﾋﾞｼﾞｭ「漢字も見て欲しいねん。なんて読むん？」

「まだ習ってへん漢字やもんなー
　教えてあげるから自分でふりがな書いてみ？
　その方が覚えられるから」

小さい子に頼られて素直に教えてるまゆ。

出られへん舞台の台本を見せられて
ある意味、酷なことされてるわけで

だからといって、
悔しさをちびっこに向けるわけでもない。
何を考えてるんやろか

＊稽古終わり

まゆは、ずっと端っこで稽古を見てた

いつものダンスレッスンなら
レッスン終わりにおしゃべりして帰るけど
こういう時は、ささっと帰ろうとする。

今まで聞かれへんかったけど、
俺も関ジュでの立場も先輩になってきた中
まゆの存在はちゃんと理解してやらんとっていう
気持ちの方が大きくなってきてる

聞くなら今かもしれん

末澤「まゆ！」

「ん？」

末澤「…一緒にメシいかん？」

「今日？」

末澤「うん。あかんかった？」

「いいよ」

＊お店

連れてきたはええけど
なんで話せばええのか考えてなかった

出演の無い舞台の稽古に何しにきてん？

いや、さすがにトゲがありすぎる

こういう時なんて言ったらええんや？

「…なんで出もせん舞台の稽古に
　毎年のように顔出すか聞きたいんやろ？」

末澤「え、あ、あぁ。まぁ、そう」

「まあ、思うよね笑
　今までなんで誰も聞いてこないんだろうって思ってたし！
　でも、普通に考えて、聞けへんよな笑」

笑ってる。
でも少し悲しそうな表情でもある