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「──と言う事があってだね。仕事をしに来たわけだ」

「は、はあ……?」

「そうなん、です、か?」と何やら言いたげな茶色い雛鳥の横を通り過ぎ、白いテーブルへと紙を置く。

「研究所の方にいると、周囲が煩いものでね」

お邪魔させて頂くよ、と言う私に、彼……サンダルフォンと呼ばれる天司は

「じゃあ、珈琲を用意してきます」

と背中を向けて駆けていった。

元気なものだ

「さてと……ん……?」

紙を間近にし、先ほどまでは気付かなかった香りに顔を顰める。

何やら書類がハーブ臭い。

「なんで……あぁ、なるほど……」

だが、理由はすぐに分かった。

パラパラと束を捲ると出てくる出てくる。

紙の一部が変色した書類達が。

「ルシファーめ……」

彼は自分の研究以外には、とことん雑な男だ。

想像するに、採ってきた薬草をそのまま書類の上に置いたのだろう。数日ほど。乾燥させるため。

別にそのまま出してしまっても良いのだが、評議会の人間が厄介だ。

「お待たせしました…!」

戻ってきた雛ちゃんが、珈琲を机上へ置いた。

「雛ちゃん、戻ってきて早々に悪いが、君にお仕事を頼もう」

「!」

「私が普段いる研究施設は分かるかな」

「はい!」

「そこに行って、書類用の紙を貰ってきてほしい。私の部下に『A様のお使いです。書類用の紙をください』と言えば良い」

そこまで言うと、雛ちゃんは「分かりました!すぐに!」と、再び、今度は元気良く駆けていく。

「元気な事だ」

まったく誰に似たんだか。

諸君は分かるかい?私はね、私に似たと思っているよ。

「にしても良い香りだ」

紙から漂うハーブの匂い。

薬草本体からする匂いに顔を顰める事はあるが、彼の手やローブからする匂いは不思議と嫌いではない。

直接的に香っているわけではないのが理由だろうか。

 

 

 

「まぁ良いさ。妻として、完璧な仕事をしてやろうではないか」

そして執務室へ戻ったら、植物を乾燥させる時の注意でもしようかね。

手紙/現パロ→←香り



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アキ(プロフ) - リクエストに応えていただきありがとうございます!更新されてるのをみてすぐ飛んできました!これからも楽しみにゆっくりと読ませていただきます! (2021年11月25日 6時) (レス) @page20 id: aa044e7ab8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*Reno | 作成日時:2020年10月5日 5時

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