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「なぜ徒歩の俺よりお前達の方が遅い?」

「「まぁそう怒らずに」」

「怒ってはいない」

呆れているんだ、と言いながら、ガラスのコップに注がれたアイスティーを豪快に飲み干すルシファー。

私も、その対面に置かれたソファーに転がり氷水を飲んでいた。

ベリアルはと言えば、この執務室の中で唯一猛暑の影響を受けずに元気そう。

「……てかベリアル、そろそろ終わりの放送でも掛けてきてほしい。私も彼も自由に外が歩けないのは困る」

「あぁ、そうだった。」

忘れてた。

悪びれる様子も無く言い放ったベリアル。

双方共に怒るなど最早しない。

唯一、放送してくるね、と窓から飛び去る背中に「ドアから行け」と私が投げるくらいで。

「……しかし、水遊びだ何だと…。ここの連中は全員幼児か何かか」

「私が母だし君は父だよ」

「そう言う事は微塵も聞いていない……」

「ふふふ、知っているとも」

彼がソファーに項垂れている姿は珍しい。

猛暑の中走り回るだけではなく、最後はアクロバティックに全身を使って部屋に戻ってきたのだ。

きっと私以上に疲れてることだろう。

「そう言うお前は随分と楽しそうだったな」

「楽しかったからね」

その回答に、駄目だこの女、と言う表情を返されてしまうのは何故。

どうして我が家の男共はこんなに不遜なんだ。

まぁどうでも良いがね。
 
「君と遊ぶのは楽しかったよ」

だが、何とも苦い顔をされるつもりで言ったその言葉には、随分と穏やかな言葉を返されてしまった。

「良かったな」

――諸君には分かるだろうか。

呆れを吐き出すような声色ではなく、他者の幸せに感化された声色だ。

私は、そんな彼の声をよく聞いている。

《研究所の皆様――》

「おっと?」

「ようやくか…」

外から聞こえるベリアルの声に、研究所の一日が終わる。

空はまだまだ明るいが、こんな中で遊び回った身体で仕事など出来やしない。

それはうら若き部下達も私達も同じだ。

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アキ(プロフ) - リクエストに応えていただきありがとうございます!更新されてるのをみてすぐ飛んできました!これからも楽しみにゆっくりと読ませていただきます! (2021年11月25日 6時) (レス) @page20 id: aa044e7ab8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*Reno | 作成日時:2020年10月5日 5時

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