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そう言った私を多う巨大な影。
「おや」
本当に調度良い、と笑う私へ、事の元凶たる黒い息子が微笑んだ。
「お疲れさまファーさん。お母サマも」
「馬鹿者」
「はっは!ごめんって。でも楽しかっただろ?たまにはさ」
「馬鹿野郎」
私とルシファーの双方から罵倒され、ベリアルは少しばかり肩を竦めてみせた。反省などしていないがね。
「さてファーさん、どっちを抱えて行けば良い?」
冷たい地面に転がるルシファーは、一瞬だけ私の方を見る。
「私はまだ遊ぶ」
「ベリアル、行くぞ」
顎で私を指し示すルシファーに、オーケィ、と私を担ぎ上げるベリアル。
「ああああぁぁぁぁぁ馬鹿!!!大馬鹿者め!ルシファー許さないぞ!ベリアル!早急に降ろしたまえ!!!」
「部屋戻ったら降ろすからさ」
「貴様は母の言葉が聞けないと!?」
「オレ、お父サマ派なんだよね」
「馬鹿野郎!!!」
そう叫ぶ間にも、黒い身体は宙へ舞う。
ヒギャアッと怪鳥のような声をあげる私の下で、地面から起き上がったルシファーが、執務室へ向かうべく走り出していた。
柱に彫られた僅かな装飾を踏み台に屋根へと飛び乗って、猫も驚くような身軽さで屋根の上を駆け抜けていく身体。
その身軽さの犠牲になったのは、持ち主によって捨て置かれた白いローブ。
「ベリアル、後でルシファーのローブを回収しに行ってくれ」
「はいはい……って、お母サマはアレじゃ?何だっけ、あ、そうそう、高所恐怖症」
「は?」
そんな訳ないだろう、とベリアルの腕を殴りつける。
「担ぎ上げられたり抱えられたりってのが嫌いでね。何だろうか、こう……内臓が重力に引っ張られて落ちていきそうで」
「そっかーー」
せっかく疑問を説明してやったと言うのに『何言ってんだこの女』と言う視線を頂いてしまった。何故。遺憾だ。
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アキ(プロフ) - リクエストに応えていただきありがとうございます!更新されてるのをみてすぐ飛んできました!これからも楽しみにゆっくりと読ませていただきます! (2021年11月25日 6時) (レス) @page20 id: aa044e7ab8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*Reno | 作成日時:2020年10月5日 5時