黎明の扉 (ページ8)

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紫煙ページ8

｢とにかく…ルシフェル、お前は私が呼んだ時、すぐに顕現出来るように心構えを｣

｢分かった｣

｢……あとはもう、お前は雛ちゃんのところに行っておいで。また何かあれば話す｣

溜め息と共に吐かれた言葉。

｢A、あまり無理はしないでほしい｣

｢分かっている…｣

｢……では｣

何か言いたげに目を伏せて、ルシフェルは部屋を出て行った。

｢……｣

｢A様｣

大丈夫ですか、と、部下の声。

｢……あぁ｣

全くもって大丈夫ではない。

敵対する事が不安なわけではなく、ただ純粋に、私の求めるものが正しいのかが不安なのだ。

私は私の自由意志で全てを決めている。

何ものにも染まらず縛られない、そんな自由意志の矛先が部下と研究所に向けられた今、それが正しいか否かを答えてくれる者はいない。

私が指標で、基準になったからだ。

自分で全てを表し認め処理していかねばならない。

ルシファーに丸投げし、好き勝手に動く事はできない。

｢……｣

――頭が痛い。

｢…どうすれば……｣

呟いた声は誰に届くわけでもなく消える。