白翼 ページ6
今さら何を、と、そんな声が聞こえた。
「私達は貴女についていきます」
「どうぞご心配なく」
その言葉に私は、不覚にも彼らを愚かだと思った。
「そもそも星の民は不滅の存在。例え星晶獣…いや、天司達が暴れだそうと、彼らが殺しに来るより早く殺してみせます」
だって、そんな事なんて言うもんじゃない。
「A様、私達の上司は天司長でも補佐官でも所長でもありません」
「そうですよ」
「何を心配しているのですか?」
永く続く命があるにしたって、身体はいくらでも朽ちて滅ぶ。
肉は抉れるし、骨は折れて砕けるし、どこかに家出した臓器を治すには長い年月と痛みを伴うのに。
どれだけ肉体が損傷しようと、魂が離れない。
ただそれだけで、痛みもあるし、恐怖だってある。
なのに、そんな事。
「「「「私達の上司は貴女だ」」」」
そんな事、言うもんじゃないだろう?
「――A様!!天司長を連れてきました!!」
ドアを蹴り開けるように入ってきた一人の研究員。
その後ろからやって来た、白い、六枚翼の男。
彼によく似た、似てない男。
「ルシフェル」
どうか話を聞いてくれ。
そう言った私に、彼は静かに頷いた。
64人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*Reno | 作成日時:2020年4月11日 5時