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「満足したか?」

こつこつと靴を慣らし近付いてくるのは槍の持ち主。

「満足もなにも、不満…か、生まれな……が」

「喋れるなら大丈夫だろう」

丈夫な女だな、と続ける彼に「ぶっ殺すぞ」と声が出る。

そう言えば星の民が致命傷を負ったらどうなるのか知らないな?なんて頭の片隅に思い浮かべながら、私はルシファーの顔を見た。

ルシファーは真顔だ。

もう少し鮮明に言えば些か不機嫌そうに僅かに目を細めている。ほんの数ミリほど。

「自分で、っ刺して、おいて、随分…不服そうな……」

腹に刺さってる槍のせいか、上手く言葉が発せない。人間、やはり無意識に全身の筋肉を使っているんだな。

「言っただろう。お前と意見を違えるとは、と」

「私…の、反応は、想定外だ…と?」

「想定外ではないと?」

質問に質問で返すんじゃない。

色々と余裕をこいて考え事をしているが、諸君、人は死にかけると現実から目を逸らさねば気力がもたない事がある。

言い換えれば、気力が持てば瀕死のまま逃げ果せる事も不可能ではない。

そんな事を考えていれば、遠く遠くの果てで僅かな音がした。

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作者名:*Reno | 作成日時:2020年4月11日 5時

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