黎明の扉 (ページ23)

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お互い手合わせのように無言のまま武器を交え、早数十分が経とうとしていた。

｢く……っ…｣

｢どうした？まだくたばるには早いぞ｣

しかしまぁ現実とは残酷だ。

いくら私が戦えようと動こうと、相手は男だ。

例えその背に大差が無かったとしても、普段の運動量が同じだったとしても。

〝男〟と〝女〟であると言うことだけで、体力も、筋力も、そして、それに伴う集中力も違ってくる。

その差を埋めるのは、今では酷く難しい。

｢よそ見などと…｣

｢！！なッ――｣

横っ面に飛んでくる回し蹴り。

それを眼前ぎりぎりで避けきれば、ルシファーは少し驚いた顔をして間合いを取った。

｢見えていたのか｣

目を細めそう言う彼の表情は伺い知れない。

｢危うくこめかみを吹っ飛ばされるところだったよ｣

――いつまで、この大口を叩いてられるやら。

｢｣

振り上げた武器による風圧でルシファーの動きを牽制しつつ、私は、彼の武器が届かぬ範囲まで後退る。

お互いに、お互いの動きや癖を知っている。

だからこそ互いに、油断が出来ない状態。

｢最悪だ｣

絡んだ痰を吐き捨てるようにそう言えば、彼もまた一つ。

｢そうだな｣

そう、吐き捨てるように笑った。