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当然だが、私はその腕を掴まない。
「……?」
「……」
なぜ腕を伸ばさない?
なぜ伸ばすと思った。
「……」
「……」
おい、早くしろ。
知らない。
「……」
「……」
何をそんな怒っている。
君のせいだが?
そんな視線だけのやり取りを交わすこと数分間。しびれを切らしたのか、溜め息を吐いたルシファーが起き上がった。
「何が不満なんだ」
「全部だが」
「おい」
この状況でも互いに声を荒げないのは、決して怒っているわけではなく、それに使う体力が無駄だと分かっているから。
中には分かっていてやる奴もいるが、それはそれで愚かだろう?声を荒げても、何も解決しない。
それは私が一番知っている。
「外が大変な事になっていると言うのに……所長様はこんな場所で一人優雅に考え事かい」
「外にはルシフェルがいる。ベリアルも向かわせた。波紋状に広がった暴動などあの二体で適当に片付けるだろう。お前の部下達も、なかなかの暴れっぷりだ」
犬の散歩は大事だな?なんて笑う彼に、私は「そうだね」と呟き、ソファーの近くに置かれた小さなテーブルへと座った。
諸君は真似するんじゃあないぞ?品が無い。
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作者名:*Reno | 作成日時:2020年4月11日 5時