黎明の扉 (ページ17)

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歩き続け辿り着いたのは、鋼鉄と合金でできた分厚い扉の部屋。

まだルシフェルもベリアルも生まれてない頃、私が彼等を守るために作った部屋であり、星晶獣ですら破れないと言われた、絶対たる要塞の檻。

そんな扉が、ひと一人入れるくらい開いていた。

考えるまでもないが、ここの鍵は私と彼しか持っていない。

私が通るよりも一回りほど大きな扉の隙間から内部へと足を踏み込んで、私は先客の姿を探した。

扉の中はいたって普通の広間のようで、そのさらに奥には生活スペースがある。

何処だろうかと探す間も無いほどに、先客は分かりやすい場所にいた。

生活スペースにある赤いソファーに寝転んで、天井へと緩く指を向け、呪文のように小さく何かを呟いているのが我が夫だろう。

｢久し振り、ルシファー｣

磨かれた石のタイルを歩き、一つの段差を越え、木目のある床へと乗った。

ソファーは手を伸ばせばすぐの距離。

調度、私と彼の腕の距離くらい。

｢あぁ｣

お前か、と大して驚く様子も見せなかったルシファーだが、何を思ったのか、私に向かって腕を伸ばしてきた。