黎明の扉 (ページ15)

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聖典ページ15

そう、子供でも分かる簡単な話。

喧嘩をして、そのまま離れ離れになった。

互いに二度と顔を合わせず、行方を確かめる事もなく、生死の否も知らぬままに過ごし続けた。

愚かではない。
以降、争いなどしなかったから。

土塊の子々孫々よりも高等で清らかだろう。

――だが、私達は？
　

　

　

　

　

――見上げた上空の先、遥か天空の彼方にそびえる黒い塔。

私と彼は進む知恵を持って生まれた。

ならば、向かう先はただ一つ。

　
《《全ての研究員に告ぐ。一部の星晶獣、天司の謀反を各確認。各棟の管理者に従い、早急に避難せよ》》

　
その警報に掻き消されぬように、その音声に振り落とされぬように。

｢A｣

隣に立った白い羽根。

ルシフェル。

私は今でもこいつが苦手だ。

｢お帰りルシフェル。…後は頼んだよ｣

｢分かった。時期にベリアルも戻ってくるが…君は？｣

｢私は彼の…ルシファーの場所に行く｣

一人で？と眉間に皺を寄せそうなルシフェルに制止をかけ、私は武器を手に取った。

｢大丈夫｣

命の保証など無いがね。

最後の言葉こそ言わなかったが、純粋無垢の代名詞こと私の白い息子、ルシフェルは、真っ直ぐに私を見つめ｢分かった｣と言った。