黎明の剣

海光 ページ41

では何故？あの獣の性質に誤差があった理由とは。

ルシファーのミス？

…あり得ない。

性格や知能制限の事に関しては適当に決めていても、その生物の主軸となる性質…コアの設計までも適当にするほど彼は馬鹿ではないし、そこまでこの研究所全てを捨てているわけでもないだろう。

だとすれば、だ。


｢｢誰かが――｣｣


声が被り、パッと顔を上げる。

同じタイミングで結論付けた事が珍しいのか、ルシファーは、僅かに口を開けぽかんとしていた。

今の話と一切関係ないが、私はこの驚いている彼の顔が嫌いではない。

過去にその表情を｢可愛い｣と口にして武器を振り上げられたのは良い思い出である。

｢……｣

｢何故黙る｣

｢ふふふふふ、いいや？何でも。だが考える事は同じだったようだね、ルシファー｣

｢そのようだな｣

若干呆れたように言われ、私は持っていた紙を折りたたみ投げつける。

ルシファーへと投げつけた紙はすこんと音を立て、彼が膝に置いていた武器へと挟まった。

｢おぉ！ナイス私｣

見たかい？今の。

そう言ってルシファーを見ると、何とも言い難い、例えるなら……そうだね。

『挟まったことは凄いが、その前に大事な紙を投げるな』

と言うのを我慢しているような、そんな感じの微妙な顔をしていた。

まぁ良いだろう。放っておこう。









｢そうだルシファー！結論が出た記念に、この愛しの妻へキスをしてくれても構わないよ｣

｢図に乗るな｣

｢あら残念｣

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