黎明の剣

聖明 ページ40

パタンと軽い音がして、室内が再び外界と遮断された。

｢内容は｣

それとほぼ同時に、低い声が頭上から振ってきた。

｢ご覧の通り。君が言っていたように、私と一部の者の睡眠障害はあの獣がメインで引き起こされているようだ｣

特別驚くような事はない。

私は、隣に立つルシファーにそう告げた。

｢そうか…｣

｢何か不満でも？｣

｢あの獣を連れてきたのはお前が突然眠った半年ほど前だ。いくら間近にいたとは言え、そんな短期間で影響が出るようには思えん｣

｢そうかい｣

｢あぁ。お前から見てどうだ？｣

――これは…何を求めての『どうだ』なのだろうか。

話が数段飛ばしなのは変わらず、ただし何かが変わった彼に疑問を投げる。

｢自覚症状の話かい？それとも獣について？｣

｢獣について、だ｣

｢そうだねぇ…｣

その後は彼と、数時間ほど話し込んだ。

あの獣の習性や能力の特徴。
エーテルの影響や鳴き声の周波数など、それはもう色々と。

この話の最中に分かったことだが、どうやらあの獣は当初ルシファーが予定していた完成とは若干違うらしい。

天司を造った際、成長や生活の中でその性格が変化する事はあれど根本的な中身…例えば基本的な性質や属性などが変わる事はまず無い。役割を大きく逸れる事が無いようにだ。

そもそもの話、性質に関してはルシフェルやベリアルですら変わる事は無いだろう。

よっぽどの事が無ければ。

少なくとも、自らは。

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