黎明の剣

副題 ページ33

良いわけがない。


世界は進まぬ者を置いていかねばならない。

適合出来なかった者を置いて、遠く果てしない未来のために切り捨てて行かねばならないのだ。

それがどんなに苦しく後ろ髪を引かれ、悲痛な声で助けを叫ばれたとしても、だ。

進むべきだ。

世界とは、そう在るべきものなのに。

それが阻害されたこの世界は、きっと氷漬けにされた花のようなモノなのだろう。

美しい。

だが触れられない。

枯れない。

だが成長しない。

ならばなぜ存在する？それのどこに存在する意味がある？ただ美しいと見つめるためだけか？私達は娯楽作品か。

否。

違う。

違うのだ。

例え半永久的に死なずとも、永遠に等しい命を持っていようとも私達は生きている。

美しいまま変わらぬ世界が良いのなら、いっそ皆殺しにでもして死体だけ愛でていたら良いだろう。

変わらないこの場への差違は少しずつ広がっていく。

何を思い、何を考え、どう動こうと変わらないこの場所で生きる事の意味とはなんだ。

私は、私達はずっと生きるのか？この場所で？

なぜ？どうして。

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