同情 ページ18
｢可哀想に｣
これは時として、その当事者を傷付ける言葉だ。
そして私は、これを彼に向けて言った。
｢ルシフェル、お前は本当に可哀想な子だ｣
何を知る術がない。
ルシフェルが、まるでこの世界そのものを表しているように見えた。
それを憐れだと思ったのだ。
自分達で造っておいて、その被造物に憐れだなどと。
……くだらない話だ。
｢…………｣
どこか困惑したような蒼い瞳。
それを見て、私はそっとローブを翻す。
｢今の事は忘れたまえ。ルシフェル、お前が案ずる事は何も無いよ｣
逃げるように部屋を出て、廊下へと渡る。
――夜になった直後か。
遠く赤い空を見て、そう認識した。
薄く明かりが付いているだけの外廊下は昼間と違い、僅かな風と共に仄暗い気配を連れ歩いていた。
どこにアテがあるわけでもなく、唯々歩き続ける。
道中すれ違った最高評議会の者に呼び止められたが、どうせ碌な話などありはしないと素通りさせて頂いた。
僅かにすれ違う直属の部下達にだけ手を触れ挨拶だけはしてやって、私はルシファーの元へと向かう。
『適当に歩いていて大丈夫か？』だって？
勿論大丈夫さ。
私は彼の事ならばある程度知っている。
そう、少なくとも、この研究所の人間よりは。
だが、実にくだらない。
可哀想だと思うならあのまま殺してやれば良かったものを。
私という奴は熟々くだらない感情を反射的に考えるのだから、本当、どうしようもない。
｢畜生め｣
雨が降ってきた。
諸君、私のように口汚く天候を罵るのはやめたまえよ。碌な育ちはしないぞ。
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＊Reno(プロフ) - かえでさん» 面白いとのお言葉ありがとうございます。フリーダム系妻面主人公(？)をこれからもゆったりよろしくお願いいたします！ (2020年2月3日 6時) (
レス) id: e0ad1dc33e (このIDを非表示/違反報告)
かえで - すごく面白いです！主人公ちゃんがかっこいい..。続き楽しみにしてます。 (2020年1月27日 17時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
＊Reno(プロフ) - うささん» 生存報告ありがとうございます。最近ますます寒くなってキレ散らかす頻度が高くなりました作者です…。楽しみにしていただき嬉しい限りです。ゆっくり更新ではありますが、これからもよろしくお願いします(´V`) (2019年12月26日 19時) (レス) id: e0ad1dc33e (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 更新お疲れ様です。私も寒さにキレ散らかして仕事に行ってます....。ルシファー大好き人間なので楽しみにしております。 (2019年12月26日 2時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊Reno | 作成日時：2019年7月11日 2時
