黎明の剣

深海 ページ16

｢――――………あぁ…？｣

目を開ける。身体が重く怠い。

身体を起こす。

見慣れた部屋の中にいる事実に、私は息を吐いた。

｢はぁ…｣

――また、眠りに落ちたらしい。

ずりっとベッドから這い出して、僅かによろける足を引きずりドアを開ける。

｢誰か居るかい｣

なんて言ってみせるが、まぁ居なくとも構わない。

しかし、案外意外な人物がそこに居た。

｢……A…！｣

｢おや｣

ルシフェル、と目の前の人物の名を呼ぶと、彼は翼を僅かに揺らしながら傍へとやって来た。

｢突然眠りに落ちたと聞いた｣

｢そのようだね。ちなみにどれくらい眠っていたか分かるかい？｣

｢数日…約三日ほど｣

｢あらそう｣

思ったより短かったと告げると、ルシフェルは僅かに眉を寄せた。

｢そんな顔しなさんな｣

｢……｣

何が、彼の不安を煽っているのだろうか。

決して情緒が豊かとは言えないルシフェル。
その彼をこんなにも不安げな顔にさせてしまうのは私の落ち度という事か？どうだろう。

私も決して情緒が豊かとは言えないから、その辺は理解しかねるな。

｢大丈夫だよ。命に別状があるわけではない｣

そもそも星の民は死にはしない。

一般的なものではだが。

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