黎明の剣

霞 ページ15

｢ふむ…草原になった｣

探索、探索、探索とどんどん進んだ先は、随分と拓けた草原だった。

特に何か目新しいものがあったわけではないが、突然背丈の低い、足首ほどしかない草原地帯になっているのは興味深い。

｢広いな。研究所の拡張ができそうだ｣

｢ルシファー？すぐにそう言う話に持って行くのは頂けない｣

だが確かにここは研究所の拡張に最適な場所と言える。そこは否定できない。

ふむ、と考え込みながら、私は草原を歩き出す。さく、と刻みの良い音がした。

ルシファーと共にああでもないこうでもないと他愛の無い話をしながら歩き、ぐるりと、どこまでこの草原が続いているかを確認していく。

｢想像以上に広いね｣

｢あぁ｣

｢ここに聖堂でも建てて、天司達の居住区にしても良いのでは？｣

｢それは難しい話だ。最高評議会の連中が喧しい｣

｢そうかい｣

意見をねじ込んでこようか、と彼に告げると、ふん、と鼻で笑いながら｢要らん｣と短く返されてしまった。

まぁ、今の私ではいつ眠ってしまうかも分からない。

仕方ないのさ。

｢だが、この場を使う口実には調度良いな。似たような名目で引きずり込むか｣

｢ルシファー、久々に悪い顔をしている｣

｢そうか｣

おっとこれは…。

｢君の反抗心に火を付けてしまったようだね｣

そう言うと彼は、薄く口を開き｢さぁ？どうだか｣と笑って見せた。

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