夢に溺れる。 (ページ3)

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P.2　それは、遊び心。ページ3

夢を見ていた。

　公園に向かいながら、いろいろと寄り道をする夢。

　寄り道をしすぎて公園に辿り着く前に夢は覚めてしまったけれど、記憶に残っているのは楽しいだけの道のり。

　見慣れた街並みに、青々とした晴天。多分記憶を元に構成されていたのだと思うが、その公園は本来存在しないはずの場所だった。

　途中、目的ではないと認識してはいたがそこそこ大きい公園へと足を踏み入れたのを覚えている。

　その公園はとても青々としてはいるけれど噴水や広場などきちんと人の手で整備されていて、いるだけで心が穏やかになるような、青空の似合う静かな場所だった。

　その公園の開けた場所、人っ子一人いない広場のような場所の片隅に、丸太で作られた小屋があった。私はその小屋に足を踏み入れる。

　そこは、小さな菓子屋だった。

　初老の肌が黒いおじさんが一人営むその菓子屋は埃一つない綺麗な状態が保たれており、丸太の優しい色と窓から差し込む柔らかな日差しが相まって穏やかな日々を連想させる。

　そんな優しい日常には、この公園に訪れた幾人の足が引き寄せられたのだろう。今の、私のように。

　パックされたその菓子は見慣れたものばかりだったけれど、スーパーのように無機質に並べられただけのそれとはほんの少しだけ違うもののように感じて。

　そんな日常の中の小さな非日常的な一コマに穏やかながらも確かな刺激を感じて―――

　―――この夢は、そこで終わった。