【資料集】apocalypse...関連 (ページ40)

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短編車窓から見る防衛領域ページ40

【予告】ここから3連続短編です
時系列バラバラ

パンドラ適合試験を受けるべくプロフェシーに来たアンジェロの話
田舎者から見たらプロフェシーは別世界です(重要)

プロフェシーの風景で違う箇所があれば教えて下さい

――――

ガタガタと揺れる馬車の中からリュックを抱き締めながら俺は外を眺めていた。前方には天にそびえるほど高い壁みたいなもの。それは地平線まで続いていた。

「おっきぃ……。こんな物があるなんて」

ぽつりと俺が呟くと御者席にいる馬車のおじさんがちらりと俺を見る。

「坊主、防壁を見るのは初めてか」
「防壁？」
「防壁ってのはカルネージからプロフェシーを守っているあの高い壁のことさ」

そう言って顎で防壁を指し示す。カルネージってなんだろう。父さんが話していたけどいまいちよく分からない。それが町村を襲うっていうけど、そんなに危険なものなのかな。

ガタンと馬車が揺れる。徐々にプロフェシーの入り口に近づいていた。頑丈そうな扉が人を飲み込んでいく。今は試験の時期だから人の出入りも激しいらしい。

その扉を潜り抜けて馬車は大通りに出る。左右にはひしめき合った店と人、人、人。道に溢れそうなほど人が並んでいる店もある。こんなに人がいたら人酔いしそうだ。

それにがやがやと騒がしい。これじゃ何言ってるか聞き取れなさそうなんだけど、此処の人たちは平気なのだろうか。馬車の往来も激しいし、ぶつかりそうで冷や冷やする。

大通りを抜けて別の通りに差し掛かるとまた風景が変わった。大通りとは打って変わって人通りは少ない。道の両脇にはひしめき合った3階くらいはあるだろう色とりどりの建物。宿屋かな。

「此処って宿屋がいっぱいあるんですね」
「ぷっ。ぶははっ、あははっ。こりゃたまげた、家と宿屋を混合する餓鬼がいたとはな」

俺が御者席に顔を出して言うと、おじさんは腹を抱えて笑った。ちょっと待って。こんなに隙間もない程家って建つもんなの！？普通、庭とかバルコニーってあるもんだよね。家と家の間にも道はあるもんだし……。

衝撃だ。人は多いし、建物はひしめき合っているし。路地だっていくつかの建物を固めたみたいに区切っているだけに見える。

「これが都会……」

ひとりごちた俺の声は霧のように消える。話には聞いていたけど此処までとは思わなかった。ルナ・オーロと違い過ぎて、まるで別世界に来た気分になる。

不安が胸に溢れて来る。俺は一つ息を吐いて背もたれに寄りかかった。