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そんなことをしている間に後ろから赤羽くんにでも撃たれたらどうするの？
「Aを殺すのは俺が良いし、殺されるなら、Aがいいんだ」
「それは、相討ちで終わらせようという相談？」
私の質問に少し考えて、それもいいかもなと笑った。
「先生を、助けたいのでしょう？それならこんなところで遊んでいないで、私を殺して旗を取りに行くべきだよ」
「Aの気持ちも尊重したいけど…やっぱり譲りたくないし、譲れない」
「…うん。私も、同じ気持ち」
悠馬くんが私を殺す…放り投げたナイフを拾うためにはどうしても、私の左手を解放する必要がある。その隙があれば腰の銃を抜くことができる。
こんな時だというのに、やっぱり優しい輝きを放つ蜂蜜色から目を逸らさないように。彼の手と、綺麗な色だけに意識を集中させる。
腰の銃に手を伸ばして、抜く。これも、もうすっかり慣れてしまった動作。
彼の胸に銃口を当てて、引き金に指を添える。前原くんみたいにはいかない。左手で銃を握るのはほんの少し、やりづらさがあるけれど…ゼロ距離なら、絶対に外さない。
私がいつでも撃てる状態になったのと同時に、彼のナイフが私の首元に添えられた。
その直後、青の旗を取りに向かった寺坂くんたちが同時に4人死亡したことを知らされる。
渚くん、旗の近くに潜んでいたんだ。生き残っているのは、赤羽くんと渚くんと、悠馬くんと私。
結局、かなり終盤まで生き残ってしまったな。
「当てないの？あと少しでしょう？」
「こっちのセリフだよ。撃たないのか？」
お互いの姿が見えた状態から、相手を殺す寸前まで追い詰めた。私にしては、上出来だったでしょう？
「…クラスの総意を決めるのは、私たちじゃないね」
「まあ、もともとあいつらが始めたケンカだしな」
ほんの少し見つめ合って、私が引き金を引くのと同時に彼のナイフがやけに優しく、丁寧に。私の首にインクをつける。
言葉も、言外の合図も何もなかったけれど、突き付けられた刃から彼の気持ちが全部、伝わってくる気がした。
自分の意見を貫くべきだと思うのと、同じくらい。彼の意思も尊重したいと思った。
彼になら、殺されてもいいと思った。だからすぐには撃たなかったし、撃つことはできなかった。多分、それは彼も同じだったのだと思う。
2人同時に息を吐き出しながら、なんだか気が抜けて少し笑ってしまった。
差し出された手を取って立ち上がる。
渚くんと赤羽くんの戦い、きちんと見届けないとね。
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nano*(プロフ) - りゅーさん» りゅー様、コメントありがとうございます。楽しんでいただけているようでとっても嬉しいです。毎日更新、とはいかないかもしれませんが、最後までがんばっていきますね！ (2022年5月2日 19時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
りゅー - とても面白いです！ 更新頑張ってください！ (2022年5月2日 5時) (レス) id: a57abce8b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nano* | 作成日時：2022年4月6日 13時
