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「……」
「起きたか？おはよう」
「…？」
まだちょっと眠そうだ。俺の顔をしばらく見て、こてっと首を傾ける。
「……みた？」
「な、何をだ…！？」
Aの方もなにやらちょっと焦ってるみたいだった。質問に主語がない。
寝顔を？それは不可抗力というか、なんというか…。こんなとこで寝てたAにもちょっとは責任があるような、ないような…？いや、でも、ほら、可愛かったぞ…？
「…なんのことだかわからないのなら、それでいいの…」
どう考えても苦しい言い訳をあれこれ考えてみていたら、そわそわと立ち上がって、机に乗ってた紙の束みたいなものを持って、そのままベッドルームに入って。すぐに出てきた。…な、何なんだ…？
「…おはよう、悠馬くん」
「あ、ああ、おはよう…？」
さっきのは夢か幻かってくらい、いつも通りのAが声をかけてくるから、余計にわけがわからなくなった。
寝てしまうだなんて思わなかったな。気を遣わせて、ソファーまでの決して短くはない距離を移動させてもらったのに、目が覚めないとも。
眠れないまま書いた拙い文章を、恐らく彼に読まれていないというのは不幸中の幸いだったけれど。
今日もそれなりに頭を使ったり、体を動かしたりしたはずなのだけれど、やっぱりうまく寝付けなくて、紙とペンを持ってきてみた。…けれど、また同じことが起きてしまうと困るし、もうやめておいた方がいいかな。
自分用の日記か、備忘録みたいなものだから、人に見せるようなものではない。これを読まれるの、なんだか、恥ずかしい気がするし。
「A」
「っ」
大部屋からはもう、誰もいなくなったはずだった。気配を殺して近づいてきた彼に声を掛けられて、びくっと肩を跳ねさせてしまう。悠馬くんは、殺し屋なの？暗殺の訓練を積んでいるから、それも間違いではないのかもしれないけれど…。
「やっぱり眠れないんだろ」
「だからといって、悠馬くんまで起きている必要は…」
「俺も眠れないんだ」
ないと思う。と言おうとしたのだけれど遮られてしまった。
彼の言葉が本当なのか、それとも眠れない私に気を遣ってどうにかしようとしてくれているのか、確かめる術は、私にはない。なんだか少しずるい気がする。
「それは？」
「…ひみつ」
慌てて裏返した紙の束を指さされて少しどきりとしてしまった。
「そういう隠し方されるとちょっと気になるな」
「悠馬くんでも、ぜったいだめ。恥ずかしいもの。何か飲む？ココアとか」
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nano*(プロフ) - りゅーさん» りゅー様、コメントありがとうございます。楽しんでいただけているようでとっても嬉しいです。毎日更新、とはいかないかもしれませんが、最後までがんばっていきますね！ (2022年5月2日 19時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
りゅー - とても面白いです！ 更新頑張ってください！ (2022年5月2日 5時) (レス) id: a57abce8b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nano* | 作成日時：2022年4月6日 13時
