３３１ ページ38
「その後で、ちゃんと世間に説明しようよ。私たちがどんな気持ちで…？」
聞こえてきた車のエンジン音に、人差し指を立てることで矢田さんの言葉を遮る。
「っ、」
逃げないと。
声を上げたり、体を動かしたりするよりも先に、何かで目を覆われ、腕を縛られて車に詰め込まれた。
聞こえてきたエンジン音は多分、3台分。同じ車に詰め込まれたクラスメイトの声。一瞬のうちに、抵抗する間もなく拘束されて車に詰め込まれた。相手は相当強い。敵の数は、少なくとも6人。
相手の目的や、戦力、この車が向かう先にあるものがわかるまでは、この状態では動くことができないし、動くべきではない。
怖い…。
手枷と繋がる紐のようなものを引かれて、車から連れ出された。
「離せよ！」
「なんだいきなり…」
別の車の方から、抵抗する声。
「迅速な仕事だ。流石だなホウジョウ」
ホウジョウ…それがリーダー格の人の名前？
「司令官、全員無事に保護しました」
この声がホウジョウさんのもの。保護…ひとまず、私たちが命の危機に陥っているわけではないことだけはわかって、ほんの少しだけほっとする。
目隠しが外されて、手枷はつけられたままだけれど、相手の顔と周囲の様子が見えるようになる。
『司令官』と呼ばれたおじさんが防衛省の施設を借りた今作戦の指令本部だと説明を始めた。
私たちはここで暗殺が完了するまでこの人たちの保護下に置かれることになる。親御さんには連絡済み。
爆発の可能性は1％以下なのだから殺すのを待って欲しい。原さんの訴えは、0％にならない限り大衆の恐れは消えない。1％というのは地球の存亡を賭けるには高すぎると一蹴される。
先生は、先生になる前は殺し屋だったのだから、ここで死ぬのだって自業自得。
司令官のおじさんの…大人の正論。
けれど、理性だけで、そんなもっともらしい正論だけでは、感情を殺しきれないことだってある。
寺坂くんが司令官のおじさんの顔に思い切り蹴りを入れる。
「あのタコをごもっともな正論で語るんじゃねぇ！そもそも誰だテメェ！名前も知らねーモブの分際で！」
…確かに、ホウジョウさん以外の人の名前は知らないけれども。
失敬な、私の名は、と名乗ろうとした司令官さんの言葉は、私たちはあの怪物に洗脳されているようだと言うホウジョウさんの声に遮られた。
この人たちの役割は、バリアの外側の見張り。この人たちの守りを破らないと、先生にも会えないということだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nano*(プロフ) - りゅーさん» りゅー様、コメントありがとうございます。楽しんでいただけているようでとっても嬉しいです。毎日更新、とはいかないかもしれませんが、最後までがんばっていきますね！ (2022年5月2日 19時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
りゅー - とても面白いです！ 更新頑張ってください！ (2022年5月2日 5時) (レス) id: a57abce8b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nano* | 作成日時：2022年4月6日 13時
