【暗殺教室】ばびっとらびっと６ (ページ47)

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先生はきっと、気がついて欲しくなかったのだと思う。
楽しいまま先生を殺して欲しかった。だから自分の過去について話すのを避けていたのだと思う。きっと先生も、怖かったんだ。みんなの殺意が鈍ってしまうのは…みんなの気持ちが1番、はっきりと先生に伝わる暗殺というものが消えてしまうかもしれないのが。

だから、楽しく賑やかに、真っ直ぐに暗殺に向き合ったみんなも、何も悪くない。先生が望む通りに、先生の教えをきちんと吸収しながらゆっくりと進化してきた、良い生徒たち。
みんなが気がついたことが間違いだとも思わない。先生を殺して、あとから真実を知ったらきっと、もっと後悔していた。だから、これは必要な過程。

私も、多分、みんなが…あなたが迷って、変わってしまうのが怖かった。暗殺を通じて、みんなが笑顔で過ごすことができる。そんな楽しい教室が、そうでなくなってしまうのは嫌だった。

人生に最適解なんて、見つけられるはずがないもの。間違ったり、迷ったりしながらその時々で最善だと思うものを選び取っていくの。その時最善だったものが、後になってそうではなかったと思うことも、あるかもしれないけれど…それは、責められるべきではないと思う。

「悠馬くんはずっと、先生と、みんなと、真っ直ぐに向き合ってきた良い子。ころせんせーも、良い先生。みんなの、たくさんの想いが集まって、混ざり合って、今の教室があるの。…だからね、悠馬くんが謝らなきゃいけないことは、なにもないよ」
「…Aの言葉も、声も、いつもあったかいな。Aは人に優しすぎる」

俯いたままの彼の顔を覗き込んだら、少し笑ってくれた。

「悠馬くんには負けるよ」

人をよく見て、きちんと人の言葉を聞いて…なんでもないような顔をして誰かにあたたかい魔法をかけてしまう。そんなあなたに私が敵う要素なんて、ないと思うな。

「そういうとこだよ」
「何が…」

何がそういうところなの？
尋ねようとしたけれど、向こうに見えたひと際明るく、色とりどりに輝く場所に目を奪われてしまった。

「見えてきたな。今日くらいは、難しいことも全部忘れたっていいだろ？年に一度の、聖なる夜ってやつだもんな」
「…ふふ。うん」

きらきらと輝く光に彩られた街路樹。
方々に置かれたトナカイやサンタさん。クリスマスとはあまり関係がない気がする動物を象った電飾もある。
次々に色を変える大きなクリスマスツリー。
それらを見て、楽しそうに声を上げる人たち。