【暗殺教室】ばびっとらびっと６ (ページ24)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:25,083 hit

２６８ページ24

何が楽しいのか、ふわふわ頭を撫でてくる。…なんか、微妙に恥ずかしいなこれ…。

「よし、じゃあ立つぞ」
「うん。…わ…」

やっぱりAは軽いな。驚いたような、感動したような声。
布越しに伝わる体温だとか、柔らかさだとか、そういう余計な思考は追い出しておく。本当に、ジャージを履いてもらって良かった。

「すごい…あのね、ここから、もう川が見えるの」
「そっか」

俺には川までは見えないけど。頭上から聞こえるAの声は随分と楽しそうで…Aが楽しいなら、まあ、いいか。

「磯貝、今の顔、人に見せられるか？」
「…絶対無理」
「どうして？」

後ろだけは向かないようにゆっくり歩いてたら、背後からかかる前原の揶揄うような声。
正直に答えたら、きょとん顔が容易に想像できるAの声と、ふわふわ垂れてきた黒髪が顔を擽る。
…どうして、も何もないと思う。自分がどんな顔をしてるのかなんて、鏡を見なくたってわかる。前原曰く『Aが可愛くてしょーがない！って顔』だろうな。

「見るなって…」
「わ、手、離したらあぶないよ…！」

顔を見られたくなくて左手で顔を隠したら危ないと叱られた。

「どうだった？」
「ふふ…とっても楽しかったよ。ありがとう」

Aが見たいものを見られるように、しばらくあちこち歩き回ったあと、Aを地面に下ろす。
スカートを軽く叩いて整えて、本当に満足気に笑った。

「それから、悠馬くんは、背が高いんだなって思った」
「なんだそれ？リフレッシュも済んだっぽいし、Aが風邪ひく前に帰るか」