ページ ページ9
◯
注意! 死亡描写アリ
「鬼舞辻A……?」
目の前の珠世は着物の袖裾をキュッと握りしめた。紫色の大きな瞳がゆっくりと揺れ、私を捕らえた。瞳の奥に映る私は、無惨様のことを言えないほどに残忍な表情をしていた。
筆から滴る血は、もはや人間の姿ではない。
「あいつに姉がいたなんて」
「で、でも鬼は群れないんじゃないの?姉を造ったっていうことなの?」
慌てふためき、疑問を口にする3人に対して私は円を描くように筆を動かした。
あいにく、避けられてしまう。
『違いますよ。私は無惨の姉、それ以外でも以上でもない』
縦、横、右、左……。
三人を追い立てるように筆を振るう。
戦線は長引けば長引くほど、自分の血を消費する。
「はぁっ!」
『クソッ、当たった……』
血が抜ければその分動きが鈍くなる。
息も絶え絶えなほどに血が抜けた私に、甘露寺と愈史郎が刀を突き立ててくる。
私は思いっきり体を前に倒し、2人に足払いをかける。
「がぁッ……っ!」
体のバランスを崩した甘露寺と愈史郎の頸をかこうと、私は素早く振り返る。しかし愈史郎の頸には筆が届かずに、かすり傷を与えただけにとどまる。
斬れたのは甘露寺だけ。
一線を薙いだ筆は勢い余って、私の腕からすり抜ける。
『しまった!』
私が小部屋の扉をたたき割り、部屋から落ちる。
重力に従うように部屋の上下が動き、甘露寺の胴体と頭が落ちていく。
「恋柱!」
「愈史郎!甘露寺さん!」
残りの二人が部屋から手を伸ばしたので、私はとっさに自分の腕を抉って扉を閉じるように投げつけた。
きっと直ぐに溶けてしまうが、時間稼ぎにはなる。
ううぅ……、体のあちこちが痛い。
下から吹いてくる風?のようなものが傷に触れる。
治りの遅い体がもどかしく、さらには頭痛まで感じるようになる。
「鬼が落ちてくる……?!」
下から聞こえた声に、思わず目を見開いた。
それは確かに不死川の声だ。聞き間違えようのない特徴的な怒鳴り声。
『次から次へと……面倒な!』
私は必死で筆に手を伸ばす。
もう少しで柄に手が届く……っ。
「それはそんなに大切な物なのだな!」
痛いほど伸ばした腕に触れそうになった筆は、目の前で叩き割れた。
同時に視界に入るのは燃える炎————。
「よもや空から鬼が降って来るとはな!」
「ついでに甘露寺を殺した奴だ!」
最悪だ。
◯
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三千幸 - 雨雲さん» うへぇ、そんなに言ってもらえるとは光栄です……( 三甘*´艸`) (2019年12月9日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
雨雲(プロフ) - マジで最高なんですけど、、え、マジで(語彙力) (2019年12月8日 22時) (レス) id: 75cba6923f (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 蓮さん» アリガトウゴザイマス―――! (2019年12月3日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白いいいいいいいいいいいいいいい! (2019年12月3日 19時) (レス) id: 947501fbf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三千幸 | 作成日時:2019年12月2日 21時