Episode,19 レクイエム〜序章〜 ページ14
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舞鶴華に連れてこられたのは無限城から離れた森のなかだった。
うっそうと茂る木々が風に揺れ、木の葉が降っていく。
『……外』
いつ振りの外だろうか、私はそう思って何か言おうとした。
その結果、たった一言しか発せなかったのだが。
「A様、ここからなら本部での戦況も見えるかと」
舞鶴華が私の肩を抱き、煙が漂う城を見せた。
『違う…私がしたいのは、無惨の助け…』
私がそう呟くと、舞鶴華は呆れたように息を吐いた。
羽があっという間に舞い散り、人に擬態した舞鶴華は私をみて笑った。
「知ってますよぉ。……あの方もきっと、A様が戻ると知っての指示でしょうし」
『……』
大好きですよね、と舞鶴華が呟いた。
私が無惨を、なのか 無惨が私を、なのかは分からなかったが、私は頷いた。
『そうね。好きにしろ、無事な限りは……。ということだろうね』
「知ってるのに好きに動いて怪我するんですよね。知ってます」
治りはしたが、血や破れた跡が見える着物をみた。
……そこまで強くないのに、ここまで派手に大暴れしているのは確かだね。
今なら、どこぞの派手柱からも「派手派手だぁっ!」って言われそう。
『……無惨の無事な姿も見たいんだよ。きっと、彼は死んでしまう予感がするから』
「縁起でもないこと言わないでくださいよ」
舞鶴華は額から汗を流しながらそう言った。
でも私は知ってる、この物語の終わりは主人公が妹と共に平和に暮らす世界。
可愛い弟と姉が幸せに暮らす未来なんかじゃァない。
「鬼ぃッ!」
後から突然飛んできたクナイを避ける。
びぃぃん、と大きな音をたてたそれは深々と木の幹に刺さった。
『おやまぁ……。血気術、鬼灯の想い出』
私が筆を振るえば、クナイが飛んできた方向で血飛沫が上がった。
『派手だなぁ……やったのは、私か』
「ああ、もう…知りませんからね。ご武運を」
『そういうとこ優しいですよね。舞鶴華』
舞鶴華は私に血が入った大きめの瓶を渡すと、背を押した。
「行きましょうか、A様」
『すべては無惨の勝利のために』
私たちは歩き出した。
もうだれにも止められない。
最後のステージの幕開けだ。
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えぴそおど,陸 やっぱり、わかってない→←Episode,18 シアワセ
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三千幸 - 雨雲さん» うへぇ、そんなに言ってもらえるとは光栄です……( 三甘*´艸`) (2019年12月9日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
雨雲(プロフ) - マジで最高なんですけど、、え、マジで(語彙力) (2019年12月8日 22時) (レス) id: 75cba6923f (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 蓮さん» アリガトウゴザイマス―――! (2019年12月3日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白いいいいいいいいいいいいいいい! (2019年12月3日 19時) (レス) id: 947501fbf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三千幸 | 作成日時:2019年12月2日 21時