Episode,12 分かってくれない ページ2
〇
「どうしてわかってくれないんですかっ!」
襖に貼られた紙がびりびりと震え、
硝子戸も呼応するように震える。
私は目の前で怒鳴り散らしている無惨様……私の弟を眺めていた。
「私はっ、姉さまに幸せに暮らしてほしいんです!」
よくよく見れば目じりに涙が溜まっており、
久しぶりに涙を見た……と
心のなかの私じゃない誰かの声が聞こえた。
『……』
私の手元には真っ赤な輪が嵌まっている。
無惨の血鬼術の一種だ。
『それが、私の幸せじゃなくても?』
「その通りです。私は自分のことしか考えない」
どこか吹っ切れた表情で無惨がそう言った。
赤い瞳には光がなく、陰が浮かんでいる。
「姉さまさえ無事なら、他のものなんて要りません。それが私の幸せです」
『……そう』
無惨は私の顔を覗きこむと、少しだけ哀しそうに頷いた。
「姉さま、いってきます……」
この部屋で初めて起きた時にみた無惨の姿から、
いっそう、血の臭いと闇が垣間見えた。
『おかえりなさいって、言うために待ってるよ』
ねえ、無惨。
私も君に生きていてほしいんだ。
……どうしてわかってくれないの?
〇
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三千幸 - 雨雲さん» うへぇ、そんなに言ってもらえるとは光栄です……( 三甘*´艸`) (2019年12月9日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
雨雲(プロフ) - マジで最高なんですけど、、え、マジで(語彙力) (2019年12月8日 22時) (レス) id: 75cba6923f (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - 蓮さん» アリガトウゴザイマス―――! (2019年12月3日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白いいいいいいいいいいいいいいい! (2019年12月3日 19時) (レス) id: 947501fbf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三千幸 | 作成日時:2019年12月2日 21時