Episode,3 フラグ回収 ページ5
〇
体が重い。
物理的に、ではなく精神的に。
質量は増えていないのに、あちらこちらが軋む音がする。
『……ぅう』
頑張って喉を開いて空気をとおすと、
何時もよりやや高めな声が出た。
パタパタと足の平で床を叩くような音がする。
誰かが走っているのだろうか。
『ふ……うぅ〜ん』
目を開けば、そこは木の天井だった。
綺麗な木目と、木の匂いが五感を刺激する。
当然のことながら、私は一般家庭の普通の美術部員なので
自室の部屋の天井は真っ白に電気がついているものだ。
間違っても大正レトロ風の伝統は下がっていない。
『あ、あ、あー……』
声もオカシイ。
恐る恐る、起き上がってみることにした。
蒲団から体を起こすだけでも、節々が悲鳴を上げる。
一体どれだけの間、眠っていたのか、と首を傾げる。
その瞬間、
ベインッ……と一音だけ琵琶の音がした。
聞き間違いようのない、
昨日、何度も聞いたSE。
『き、聞き間違いかな?』
顔からだらだらと冷や汗がたれ、
狸寝入りを決め込もうかと蒲団に戻ろうとした時。
パァッンッ!と襖が開いた。
肩で息をする、
よく知ったスーツの男性がこちらへ入ってきた。
見たことはないけど、イヤ、あるんだけど……。
ちょ、待って!待って!
ぷりーず、うぇぇいと!
脳内混乱カーニバルである。
「姉さま…っ…」
感極まった様子の男性は、私の右腕を掴んでそう云った。
聞き間違いでなければ、その声は関さんそっくりで、
見間違いでなければその顔は“鬼舞辻無惨”で、
こちらを見ている眼は見間違いようのない……赤だ。
『……ん゛っ』
思わず心臓を押さえた。
その瞬間、眼前の人は目を丸くして私を抱き寄せた。というか、抱き締めた。
近い近い近い……造形美が近すぎるよ……っ。睫毛、長っ。
これならドッキリでも嬉しいよ。てか、本当にどういう状況だ。
「ね、姉さま?まさか、まだ胸が痛むのですか。忌々しい、あの鬼殺隊め……っ」
私の頬に手を添え、覗きこむようにしてそう云ってくる。
心配そうで、伏せがちな瞳は今にも泣きそうだ。
私は一か八かの賭けに出ることにした。
もしも、これが昨日のフラグ回収だとしたら……。
〇
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まゆゆ(プロフ) - 無惨のテンション高めな感じの時は仮面ライダー電王のモモタロスを想像してしまうw (4月30日 23時) (レス) @page12 id: d6c6f36b97 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 三千幸さん» 見てきます!陰キャ組とか無常とかいいですよね… (2019年11月21日 19時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ソフィアさん» はい!今、同名で2作品 書いて投稿しています。リッパー落ちとヤンデレ短編集ですが宜しければ読んでください!陰キャ組、白黒無常、写真家が好きなんです!……端末を持っていないのでゲームはやったことないんですが。 (2019年11月20日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 第五人格知ってるんですか?! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ミサモさん» そうですよねぇ。(*´▽`*) (2019年11月18日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三千幸 | 作成日時:2019年11月5日 20時