検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:337,741 hit

えぴそおど,弐 花火 ページ30



姉さまと喧嘩した。
何方が悪いのかと問われれば、
私にも非があったと言えなくなくもなくない。

むしゃくしゃする。
姉さまと話そうと思っても、この辺にはいないらしい。
黒死牟に探させているが、
姉さまの居場所は一向につかめなかった。

「姉さまが悪い」

子供のようにつぶやいても、
返事が返ってこないことくらい解りきっている。
夜風は一段と強く、
姉さまに縫ってもらった黒い着流しがバサバサと揺れる。

「……無惨様……」
「居なかった、か」
「……申し訳……ありません……」
「いい、下がれ」

今日は祭りがあっているのか、
遠くで花火が上がった。

ここは、
この丘は、
姉さまと初めて花火を見た場所だ。

「……姉さま」

姉さまがこんなに怒るのは珍しい。
普段が柔和な人だけあって、怒るとこんなに怖いとは思わなかった。
私の目の前から消えてしまうなんて思わなかった。

……でも、姉さまが悪いのだ。
いつまでも私を子供扱いしているから、
もう大人なのだと分かってほしかったのに。
下手に行動するのではなかった。
これが姉さまが普段から言っていた「反省」、か。

「姉さま……一人は寂しいです、鬼ばかりいても意味がありません。
 早く、帰ってきてください」

自分の膝をキュッと抱え、
一人で花火を眺めた。

夜空を照らす花弁は儚く、とても美しかった。

手を伸ばせば、すぐに消えてしまう。

絶対に届かない。

「姉さまみたいだな……」

儚く、孤高で、限りなく人間に近い鬼・鬼舞辻A。
今、近くにいない愛しい姉が
今日の花火と共に消えてしまわないか、

それだけが気がかりだった。

Episode,8 トリップ、転生と云えばチート能力が欲しくなる→←夢主(鬼)の年表



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (295 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
664人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まゆゆ(プロフ) - 無惨のテンション高めな感じの時は仮面ライダー電王のモモタロスを想像してしまうw (4月30日 23時) (レス) @page12 id: d6c6f36b97 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 三千幸さん» 見てきます!陰キャ組とか無常とかいいですよね… (2019年11月21日 19時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ソフィアさん» はい!今、同名で2作品 書いて投稿しています。リッパー落ちとヤンデレ短編集ですが宜しければ読んでください!陰キャ組、白黒無常、写真家が好きなんです!……端末を持っていないのでゲームはやったことないんですが。 (2019年11月20日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 第五人格知ってるんですか?! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ミサモさん» そうですよねぇ。(*´▽`*) (2019年11月18日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:三千幸 | 作成日時:2019年11月5日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。