Episode,7 推しのために作戦会議 ページ26
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さて、なんとか無惨様に何も言われずに一日を過ごすことができた。障子を開け、そこから落ちる月光を眺めつつ、自分の膝で眠っている無惨様を恐る恐る撫でる。
ふおおおおっ!?髪の毛ふわっふわじゃん!さらっさらじゃん!誰だよ!ワカメとか言ったやつ!なんかもう、フランス人形みたいだよ!造形美過ぎるよ!すぅすぅ……って、寝息立ててるのが可愛すぎるよぉ!!
「……姉、さま」
『可愛いな(真顔)』
今日、無惨様が読んでくれていた本は『サロメ』。月彦としての姿で浅草オペラを見に行った時に気に入った演目だったらしい。珍しい。大体は貶してかえってくる彼が、若干のほほえみを浮かべて「愚かしい」と言っていたから面白かったのだろう。
『このままの気配だと鬼殺隊を攪乱する分には使えるけど……無惨を守ることは出来ない、ですね。一つでもいいから血鬼術を使えるようになる必要があるな』
月夜に向かってそう呟くと、下から怒気をはらんだ声が聞こえてくる。
「その必要は無いでしょう」
『あ、あれ……起きてたの?』
「鬼は眠る必要がないのですよ、普通は。眠るのは姉さまくらいです」
立ち上がり、大きく伸びをしながら私の眼を見た。
『なんで寝たふりなんて……』
「俊圀の姿でいた時に、聞いたのです。こうしていると近くの年上が頭を撫でてくれる、と。……」
『……』
呆気に取られて、無惨様を見返した。
撫でてほしかったの???待って、私の弟が可愛すぎる。
「そんなことはどうでも良いのです。何故?」
『……ああ。このままでは無惨の役に立てないと、そう思ったんだよ。運命は動き出した、今までのとおり”眠り姫”じゃいられない。今日、確認してきた』
「外へ、童磨とともに出られたようですね。花札の鬼殺隊にも会った」
『ええ。下弦の陸はもうこの世にいないのかな?炭治郎の言い草だとそう感じたけれど、教えてくれなかったのかな』
微笑みながらそう聞けば、無惨様は視線を右へずらした。
『姉さまはそっちにはいないよ』
「……ぐ。姉さまのお耳に入れるまでは無いでしょう」
『彼らの命を救ったのは私だから、知っておきたかったと思ってね。私は君と違って、鬼のことは好きだから』
最後に少しだけ意地悪するつもりで言えば、理解できないといった表情で無惨様は私の顔を見ていた。なんだかバツが悪くなって、頭を撫でる。
「罪悪感をおぼえるくらいなら、苛めないでください」
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ソフィア(プロフ) - 三千幸さん» 見てきます!陰キャ組とか無常とかいいですよね… (2019年11月21日 19時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ソフィアさん» はい!今、同名で2作品 書いて投稿しています。リッパー落ちとヤンデレ短編集ですが宜しければ読んでください!陰キャ組、白黒無常、写真家が好きなんです!……端末を持っていないのでゲームはやったことないんですが。 (2019年11月20日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 第五人格知ってるんですか?! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 94aa0ed7fc (このIDを非表示/違反報告)
三千幸 - ミサモさん» そうですよねぇ。(*´▽`*) (2019年11月18日 19時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
ミサモ - 無惨可愛いなぁ(*⌒▽⌒*) (2019年11月18日 7時) (レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三千幸 | 作成日時:2019年11月5日 20時