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翌日、フリーが始まる。


 ヴィクトルはジャンプの難易度を下げようと言っていたのにかかわらず勇利は下げないまま演技をする。



「____ふふ。それでいいんだよ。勇利くん」

「A?!!」

「ヴィクトルさん、今の勇利くんに必要なのは進化だよ。守りじゃない。攻めなんだ」

「・・・・・」

「コーチであるあんたが信じてやらないでどうするよ」

「!!」



 Aはそう言うとヴィクトルの方を見た。




「コーチが逃げ腰じゃ、選手は100%力は出しきれない」

「・・・・・」




 その時、ガンっという何かのぶつかる音がしてリンクに視線を向ければ壁に勇利が顔面を強打していた。鼻血が出ているにも関わらず演技を続行するあたりそうとう世界に入り込んでいるのだろう。Aはすぐにティッシュを用意する。演技が終わり笑顔でこちらへ走ってくる勇利。

 ヴィクトルは構えたのだが、鼻血が出ていることがわかったとたん横にそれたのだ。


「?!ヴィクトルさんそこ抱きしめてあげなよ」

「だって鼻血付いちゃう」

「おまえひでえやつだな」






 Aはとにかくずっこけた勇利を起こすとティッシュを鼻に突っ込む。



「大丈夫?!骨とか折れてない?!」

「うん。大丈夫」

「でも一応病院に行ったほうがいいよ」

「・・・・うん」

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作者名:あさぽん | 作成日時:2016年11月10日 22時

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