【ユーリ!!!on ICE】Dear Snow (ページ38)

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「・・・・・」

　ロシアに戻ったユーリはスマホのSNSを開いていた。

「……」

　そしてそのアドレスにはAのアカウントが入っている。コスプレをした時の写真がプロフィール画像のようで、優子から連絡先を聞いたのだがなかなかメッセージを送ることができずにいた。

「(なんて送ればいいんだ・・・・)」

　悶々と悩んでいるとそのアプリに通知が来た。それは他でもない悩んでいた相手Aからである。

『こんにちは。Aです。先日はお疲れ様でした。』

「・・・・」

『戻ったらユーリ君いなくてびっくりしたわ。ちゃんと挨拶くらいしたかったんだけど』

「・・・・・」

『次はグランプリファイナルで会おうね。そんときはちゃんと敬語しゃべれるようになってるといいね。クソガキ』

「だからクソガキじゃねえ！！！！！！！！」

　スマホを思わずぶん投げようとしたがそれをミラに止められた。

「あら、日本に行ってガールフレンドでも作ってきたの？」

「うるせえ離せ」

「？いやだ、これ男の子じゃない」

「・・・・・・・・・・」

　ユーリのスマホにはこっそり隠し撮りしていたAの男装して踊っていた写真があった。さっきの拍子にフォルダが開いてしまったのだろう。

「これ女だけど」

「は？どっからどう見ても男じゃない!!」

「・・・・・ジャパニーズ、コスプレイヤー」

「コスプレイヤー?！！」

　嘘でしょ?!といって騒ぎ出すミラにユーリはため息をついた。その時コーチであるヤコフがある人物を招いていたのだった。きっちりと整えられた眉にキツイ印象を与える目尻、威厳のある凛とした女が現れたのだ。

「だれ、このおばさん」

　これが、ユーリ・プリセツキーの大きな成長への一歩となることをまだ彼は知らない。