★密告46★ ページ46
日向の言葉に影山はこくりと頷いた。
「あぁ、ここは……金田一が一番気に入ってた場所だ。」
「___?ねえ、さっきから金田一って名前出てくるけど…影山の知り合い?」
「____」
山口の問いかけに影山はその顔に影を落とした。
「ダチ…だった」
「友達?…」
「ああ。それこそ国見と金田一と俺は中等部の頃仲が良かった方だった。国見はケーキ屋の息子、金田一は親が生物学者で母親が花屋。親たちが仲が良かったからそれでっていうのもあった」
中学、一緒にこの学園に入学してしばらくした頃だった。この学園でギャンブルが行われていることを知ったのは。そして階級制になっていたことも。もともとポーカーとかそういうトランプゲームは得意だったし、掛金もそこそこのゲームでも……
「俺は、生徒会のメンバーとギャンブルをして負けた」
「え?・・・・」
「あれが初めてじゃねえ。もう何回もギャンブルをした。」
強いものが勝ち、弱者は人間としての品位、地位さえ失ってしまう。弱者となったものは虐げられて家畜と呼ばれこの学園のカーストの最下層へと落される。この秩序がおかしいと思った金田一が生徒会相手にギャンブルを吹っかけた。それはもう目に見えるものだった。
「人間なのにどうして奴 隷のように扱われなきゃいけないんだよ!!おかしいと思わねえか?」
人一倍真っ直ぐで優しいあいつは、ギャンブルで負けて家畜になった。弱者になったあいつは周りの生徒からのストレス発散のはけ口になった。日に日に増えていくあいつの体の生傷。俺らは中庭で飯食ったり金田一を励ましたりしてた。でも
「おい、ポチ!!早く昼飯買ってこいよ」
「ぽち〜喉渇いたからお茶買ってきて!!」
「なによこれ、私頼んだのと違うじゃない!!」
パシリに使われるのはまだわかるが……あいつはそれだけじゃなかった。
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作者名:あさぽん | 作成日時:2016年6月9日 23時