14 ページ14
そのままなんとなく世間話をしていると、案外ジンさんとは趣味が合うことが判明した。
就活で心が荒んでいた時に私を救ったのは、意外にも今までやってこなかったゲームなのだけど、ジンさんは相当のゲーム好きらしく、キラキラと目を輝かせながら「レベルは！？」と聞いてきた。
そうやって素直に接してくれれば、私も心を開きやすいんだけどな。
｢ねえ、ドヨンとは本当に付き合ってないの？」
｢え、マリオの話どこ行ったんですか」
｢だって仲良いから、なんか物の場所まで把握してるし」
物の場所…？なんのことかわからずに、前を向いたまま首を傾げていると、「ドヨンのカバン！迷いなくあさって色々出してたから」とジンさんから補足の情報が入る。
おそらく、ドヨンの家の鍵を探した時のことだろう。
把握も何も、あいつは小学生の頃から鍵っ子で、一度家の鍵を失くして親にこっぴどく怒られたことがる。それからポケット付きのカバンしか使わず、そのポケットに鍵を入れるようにしているのを知っているからだ。
仲がいいからなんでも共有しているとか、そんなに可愛い関係でない。ただ物心ついた時から一緒にいるので、自動的に知らないことの方が珍しいだけだ。
未だに家族同士で仲がいいのと、学校も就職先もなんの奇跡かずっと同じなのはもはや怪奇現象だと思っているけど。
｢ただの腐れ縁ですよ」
｢ふぅん…」
｢用がなければ1ヶ月とか普通に会話しないです」
｢全然仲良くないじゃん」
そうですよ〜と言ったところで、なんでこんな言い訳がましい弁解をしているんだ？と我に返った。
おかしいぞ？と脳が信号を出して始めて気づいた。全然緊張してない。
メンバーの命を預かるにはガチガチすぎて逆に事故になりそう、と思っていたのに、いつの間にか当たり前のように車線変更までしている。というかもうすぐ宿舎に着く。
ジンさんと喋ってたからかな、なんかちょっと楽しかったし。
無事に駐車してみんなを起こしていると、「今更眠くなってきた」と目を擦っているジンさんがつぶやいた。
不思議な人だな、結局それが、ジンさんの最終的な第一印象になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し(プロフ) - アイアイさん» 嬉しいコメントありがとうございます！がんばります…！ (9月11日 10時) (
レス) id: 6f5415b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
アイアイ(プロフ) - 2人のやりとり好きです❤️否定も肯定も出来ない関係がリアルですね！更新これからも楽しみにしてます！ (9月4日 19時) (レス) @page30 id: ef22ae402e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2022年10月4日 19時
